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活動・「五・七・五の会」(令和5年度~)


令和6年12 月11日(水)午後1時30分~ つどいの家

気温がぐっと下がってきましたが、晴天のお陰で昼はそこそこ温かいです。

つどいの家もエアコンなしでOK でした。

今月の受講生の作品を紹介します。

藤山 博

寒暁や闇のキャンパス朱で明ける

行く年や明星光り能登暮れぬ

冬晴れの彼方に見ゆる国分尼寺

長篠城篠で防ぎぬ冬山河

北国から水の国目指して鴨飛来

鈴木菖蒲

小屋の上猫の姉妹も日向ぼこ

畑仕事一枚脱いで冬うらら

冬浅し東三河路歴史旅

山茶花を掃く手縦横絵文字なる

冬の雁列も乱さず夕明かり

太田大吉

余生なり身につく早寝去年今年

冬ざれや避難タワーの上に富士

電線を五線譜にする椋鳥来(むくどりく)

枯蔓(つる)の廃屋覆う線描画

煩悩は生きてる証除夜の鐘

鈴木玉子

熱燗やまた走り去るサイレン音

稲荷寺の願かけ千本冬うらら

何云わむ誰の訪(おとな)ひ冬蝶よ

落葉の空広くしてひびくコーラス

大往生柩はピンクの仮渡し

 

 

もちきなこ

たいやき食ふ頭・尻(しっぽ)か隣見る

暮れは不思議何かに追われ走る季(とき)

じじ捏ねて吾(わ)粉糖掛けシュトーレン

降誕祭米軍キャンプのハレルヤ

シリウスや米軍基地に重い音

神西 小

秋の風背負子が浮かぶ塩の道

明神峡紅葉絵巻が迫り来る

紅葉の艶出す夜露の光かな

木枯らしに耐えて年輪一つ増ゆ

小春日や雑穀食う鳩リズムよく

藤 明子

秋夕焼け枯松照らす有終の

冬麗の孫くる報せ布団干す

「ただ今」に夫の応答湯婆(ゆたんぽ)か

電照菊モザイク光る冬景色

傘寿近く調理停年冬の夕餉

太田朝々

柚子湯の香寝衣(しんい)に纏い夢に落つ

お出かけは昭和のにほい冬コート

一夜にて落葉散りしく靴の音

山びこの返事帰らぬ冬山河

一年の過行く日々よ除夜の鐘

 

次回の勉強会は、

令和7年2月12日(水)13:30~   

(1月はありませんのでご注意ください) 

初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️

 



令和6年11 月13日(水)午後1時30分~ つどいの家

暑くもなく寒くもなく、これぞ「秋」。

受講生全員、エンジン全開❗

 

  先生の講義:「具象」を題材として 

   胃・はら

例1 〇 曲玉は胃のくらがりへ冬の雁(いいものを見た)

   × 悪玉は胃のくらがりへ寒鴉(即きすぎ、悪・くらがり・鴉と皆暗い)

   骨・血・肉

例1 〇 冬の航背骨の下より熱きもの(雄々しい意志)

   × 着ぶくれて体の血肉熱くなり(当たり前)

例2 〇 海草のごとき血管鳥わたる(冷たい美意識)

   △ 海草のごとき静脈春の鴨(前句より詩美が弱い)

③ 肌・皮膚

例1 〇 変声期の少年の声春障子(おめでたい)

   △ 変声期以後の皮膚なり夏の傷(心理良し)

例2 〇 姑(しゅうとめ)と尻向け合うて大根洗ふ(滑稽味あり)

   △ 夫(つま)の尻大きく惜春の馬か(いいすぎ)

④ 魂・喜怒

例1 〇 ごむまりの魂ぬけて秋桜(虚であるが「魂」に「秋桜」の衝撃よし)

 × ごむまりの空気ぬけて冬の夢(マイナス、夢無し)

例2 〇 不漁なる喜怒の港や牡蠣殻山(具象の景佳し)

   × 喜怒忘れ海苔舟今日も着く港(寂しすぎる。表現に順序ありすぎる)

 

 

 今回の具象は俳句にしづらいものばかりです。でも、こんな句もあるのだと心にとめておきましょう。

 

今月の受講生の作品を紹介します。

太田朝々

目覚めれば湖沈みゆく気嵐よ

秋寒や眠る長袖目を覚ます

障子貼る心機一転茶事を待つ

炉開きや粟ぜんざいに衿正す

秋祭り大人太鼓に幼き音

藤山 博

神頼み留守と知りつつ神無月

朝北風(あさきた)や喋り上手な雀達

初化粧娘ごころか富士の山

空青く湖面をうめる照紅葉

野良仕事手足急かすも釣瓶落とし

鈴木菖蒲

帰り道薄日に浮ぶ狂い花

かまきりの食事邪魔して刈込みす

ゲリラ雨秋の各地で被害大

生垣の刈込み百舌に威かくされ

狭庭にも色どり少し冬どなり

太田大吉

絵筆おきほと深呼吸新(あら)走り

破蓮(やれはす)や巡る栄枯に見上(みあ)ぐ

秋祭り終へて家路の人無口

秋の暮矢鱈(やたら)と長き影ばかり

健診終へて照葉道目に眩し

鈴木玉子

秋高し世界に響けノーベル平和賞

秋麗や山は神の絵具箱

象死んで育舎の庭や雑草(くさ)の秋

軍手染む露草の青濃くうすく

大軍の黄色攻めくる泡立草

もちきなこ

ピョンピョンと祭り稽古の子らの声

炉開きの粟ぜんざいに「菊寿の白」

立冬のラジオ体操背に風を

初冠雪に沸く立冬の富士山よ

立冬よ咲くときを待つさくらかな

神西 小

小光る湖浸る間削る秋の暮

米届く歳には勝てぬと文添えて

微笑みの友の化身か彼岸花

野道行く枯葉の音色心地よく

もみじ狩り日延べを迫る温暖化

藤 明子

かめ虫の被害に泣きし柿農家

夫婦箸に健康祈願旅の秋

髪の毛よ顔の額縁冬立ちぬ

文添えて土(ど)付き里芋友の味

蔦の葉よ白壁占拠躍動す

 

次回の勉強会は、

令和6年12月11日(水)13:30~   

 初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️



令和6年10 月9日(水)午後1時30分~ つどいの家

今日は朝から雨、昨日から気温は急激に下がり肌寒い朝を迎えました。

昼まで続いた雨も午後は上がり、俳句の会が始まる頃は青空が広がりました。

 

  先生の講義:「俳句添削例」

例1 × ふりむけば何の甚句や葱坊主

   〇 ふりむけば誰のつぶやき葱坊主

   評:前句の中七は一般的でインパクトがない。後句の「つぶやき」と「葱坊主」の情趣があっている。

例2 × 秋深し刻を数へるこけしかな

   〇 秋の夜の刻を数へるこけしかな

   評:前句の上五と下五と切れ字がダブル。思いが二か所に分散される。後句の「秋の夜の」として、下五に詩情を懸ける。

例3 × 静脈瘤稲刈りどきのふくらはぎ

   〇 稲刈って血の管青きふくらはぎ

   評:前句の「静脈瘤」が熟していない。そこが詩情の原点であるので、後句のように「血管の病い」の思いを打ちだす。

例4 × 熟年の刻む炎天石切場

   〇 炎天や女通さぬ石切場

   評:前句は概念的。いっそ「熟年」を「女」に直すと立ち上がる。女を近づけぬ荒々しい石と男の世界だ。

例5 × 以後老いぬ自画像白き日傘さす

   〇 少し老いぬ自画像白き日傘さす

 評:前句の「以後」は全体を壊す。昔日(若いころ)の恥じらいがそこにあるように「少し老いぬ」と直す。

 

 今回もいずれも比べてみると〇がよいのはわかります。説明されると納得です。推敲・添削を経ることで良い句になると思います。・・・これが大事ですね。

 

今月の受講生の俳句を紹介します。

藤 明子

秋遠く時の止まりしカレンダー

彼岸花首を出しては咲きためらひ

天道虫草屋根刈られ居所なし

「秋たけなわ」どこ迷走か待ち遠し

白鳥の湖(うみ)を舞いては酔芙蓉

太田朝々

読書の秋式部と心通わせて

秋深き夢の続きを今宵こそ

遠足の友と食べあう栗ごはん

赤とんぼ私も染まり乱舞する

彼岸花御魂にとどけと父母に咲く

藤山  

開かるる窓は夢月よ虫鳴きて

剥く苦労報われていし渋皮煮

基地に咲き先祖覗くか曼殊沙華

ホバリング針先伸ばす花蜜に蜂

雨上がり天地に走る虹の橋

鈴木菖蒲

検診を終わりてすする走り蕎麦

わが庭を遅れて咲きぬ彼岸花

秋日照り値上げの時ぞ米不足

秋夕べ目標決めて妻歩く

夕風の休耕田は虫時雨

太田大吉

秋深き路傍の地蔵赤帽子

明月や喜寿となる身の影明かし

季節移ると彼岸花の赤律儀身なる

秋の夜の地球の裏から転居報

曇天の季節切り割け百舌猛し

鈴木玉子

枝豆の指から飛び出す暴れん坊

金木犀香り放ちて闇抜ける

ごはんだよ母猫子をよぶ秋茜

苗植えの腰痛いたむ秋暑し

芋虫の確(しか)と摑める足のあり

もちきなこ

マロンパフェ喋るは何語女子四人

曼殊沙華婆にエールを赤赤と

秋富士に向かいてスマホスクロール

現役よ仕事・家事にと長き夜を

炉開き待つ茶室十月五行棚 

神西 小

部活漬けのイガグリの声夏謳歌

秋晴れの富士の頂き透かし撮り

秋晴れ日井戸端会議コンビニ車

百日紅超える打球や過去の夢

長靴の足取られつつ稲刈りぬ

 

次回の勉強会は、

令和6年11月13日(水)13:30~   

 初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️



令和6年9 月11日(水)午後1時30分~ つどいの家

9月も半ばだと言うのに毎日暑い日が続きます。

前回の俳句の会以降に台風10号が発生し進路迷走のうえ各地に水害を引き起こしました。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」添削例

 

例1 × 雨蛙一寸よけるか光り苔

   〇 雨蛙光り苔より眼をもらふ

   評:前句の「ちょっとよけるか」は軽い。凝視の結果、光り苔の「光り」を「雨蛙の眼が光る」の後句のほうが佳い。

例2 × 紫陽花のまだ色づきぬ蒙古斑

   〇 紫陽花のまだ色づかぬ蒙古斑

   評:前句「まだ」は否定なのに「完了形」の「色づきぬ」は変。後句「まだ」の否定より「色づかぬ」の否定へ発想はとてもよい。

例3 × 春の闇湯けむりの中われひとり

   〇 春の闇湯けむりの中ひとりゐて

   評:「われひとり」の語感は女性でない。男の表現。後句の「ひとりゐて」で女性の優しさ、寂しさを表す。

例4 × 桜散る明日は路上の露となり

   〇 桜散る明日の未来を思ひをり

   評:前句の悲観より、将来のプラス思考へ自分を導く。

例5 × 久方の雑踏たのし二月かな

   〇 久方の雑踏たのし夏の髪

 評:前句の二月の寒さでは、楽しさが半減。後句の「夏の髪」のカットした髪形のほうが景が楽しく涼やかに見える。

例6 × 心太よしづ越しなる客の足

   〇 心太よしづ越しなる時の見ゆ

   評:前句「客の足」はそれだけのこと。後句「時間」が見えた方が対比が深くなる。

 

 

 先生の講義はいずれも比べてみると〇がよいのはわかります。これは、前回でもそうでしたが、推敲・添削を経ることで良い句になると思います。・・・これが大事ですね。

 

今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

父母の声迎え火抜けて奥の間へ🎉

お隣も送り火揺れる盆の末

窓越しの初秋柔風夢誘う

赤とんぼ友になろうと誘う舞

異常夏も月が変われば鰯雲

ほてい草金魚の餌となる夫の留守

救急車の音聞くたびに初夏夕べ

顔を見て一緒に食べるソーメンを

露草の青清しさに歩止め

伸び放題庭の草取り白露かな

月明り我を写して顧みる

涙して自問自答のパリ五輪

台風の目鎮座して回り蹴散らす

虫の音や会話弾ませ別世界💐

芒野に埋もれし吾子の声響く🎉

さるすべりこぼるる花や病みあがり🎉🎉

墓前にて精霊迎父忍ぶ

おじいちゃん病気づかう夏休み💐

台風明け気まぐれとんぼどこ誘う

酔芙蓉ほんのり初めり照れ笑い

子をさがす親猫の声星月夜

供物さまざま有りし寺施餓鬼

回覧板今年中止の敬老会

流れ星見るべきはずが夢の中

何処へ行く台風圏や我が人生🎆💐💐

熱帯夜まどろむはるか夜汽車行く🎉

鶏頭を背なに受け立つ火焔光🎆

秋立つや財布の奥に新紙幣

野分とは季節を急かす先導者💐💐

年長けて庭に残るは百日紅

送り火の燃えつき一瞬闇来る

夏蝶は重き光に喘ぎ飛ぶ💐

リズムよくj響くプレス機空高し

一人居の部屋の片すみ秋がゐる

空師ゆく銀杏の天辺宙の中🎉

台風去り待ってましたと轟くバイク音

晩夏光母にっこりと吾と知らず💐🎉🎉

車窓越し苦手な別れ夏の果

台風に右往左往の人・人・人

首にエリザベスこつん・こつんと秋の音

 

次回の勉強会は、

令和6年10月9日(水)13:30~   

 初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️



令和6年8 月7日(水)午後1時30分~ つどいの家

屋外を少し歩くと汗が滲んできます。

山沿いは雨があるそうですが、ここ馬郡は全く雨が降りません。いつからですかね~。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」

例1 〇 蜜蜂の一日激し手風琴

   × 蜜蜂の一日激し草むらよ

   評:前句の下五の比喩「手風琴」がいい。後句はありのまますぎる。

例2 〇 原爆忌豆腐のようなビル並ぶ

   × 原爆ドームの破れの叫び声したり

   評:後句はありのまま、面白さがない。前句の「豆腐のビル」のアイロニーが光る。。

例3 〇 朝虹の褪せてゆくとき蒙古斑

   × 朝虹の褪せてゆくときおもらしす

   評:前句の美意識。後句の詩美と違う呈示は違和感あり。

例4 〇 水枕ガバリと寒い海がある

   × 水枕ガバリと暑い日々がある

   評:前句は詩的。後句は日々の愚痴。

例5 〇 風花や紺ののれんにうら表

   × 風花を肩でうけとめのれん分け

 評:前句は俳句的「粋」がある。後句は川柳的。

  

 

 先生の講義はいずれも比べてみると〇がよいのはわかります。これは、作句の時に、推敲・添削を経ることで良い句になるのでしょう。前回も言いましたが、余裕をもって俳句を作ること、推敲の時間も含めて・・・これが大事ですね。

 

今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

三回転足ふらつかせ西瓜割り

朝顔の花言葉知る夫婦愛

祇園会や土砂降りの雨掛ける下駄

異常気象うだるきゅうりも伸びる

炎天の草の強さに我も生く

転寝や読書散漫極暑なり💐

夢うつつ我が人生は走馬灯💐💐🎉

五時起きの草取り犬に励まされ

日本一浜松の地も炎暑かな

野良仕事着替してまた猛暑なり

うだる夏何度もしのぎ今がある

絵筆おき窓に飛び込む黄金虫🎉

箸入れる角は辰巳よ冷奴

鬼百合の見えつ隠れつ土手の角

デザートか孫手加減す西瓜割り💐

草取りの寡黙になりて空無限🎆🎉

読書三昧危険な暑さ耐へる日々

蝉忙し夜まで天下謳歌せり💐🎉

秋誘ふ一朶の雲が夕空に🎉

水舐める猫の舌先秋すくふ💐

よろこびの第九負けずの蝉時雨

祖父祖母の小犬相手の夏休み🎉

今年の出来はざるの梅干し一撮み🎉

扇風機生暖かき風よしとし

パリの夏の喜ぶ泪あのひとが

眠き目に歓喜のセーヌ夏写す

夏五輪鍛錬無限勝負ナノ

するりっと背中をつたう汗の粒

朝体操掛け声響け夏空へ

打ち水に草花焼けてむせ返る💐

 

次回の勉強会は、

令和6年9月11日(水)13:30~   

 

初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️



令和6年7 月10日(水)午後1時30分~ つどいの家

連日熱中症アラートが発令されています。

夜も気温が下がらず寝苦しい夜が続きます。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」 

1.季語が動く、生きている

例1 × 機関車だけゆっくり過ぎぬ百合の花

   〇 機関車だけゆっくり過ぎぬすみれ草

   評:前句の「百合の花」はきれいすぎる。後句は「すみれ草」の弱さと「機関車」の強さが心地よい衝撃。

例2 × 初しぐれ一人の家をひとり発ち

   〇 雲の峯一人の家をひとり発ち

   評:「雲の峯」に一人住まいの作者は力づけられる。前句の「初しぐれ」は合わない、暗いイメージ。

2 切れ字の佳し、悪し

例1 × すべりだす蛇に重さのなき日かな

   〇 すべりだす蛇に重さのなかりけり

   評:「かな」の詠嘆より、断定の「けり」の方がよい。日は省略すべき。

例2 × 閑かに岩へしみ入る蝉の声

   〇 静かさや岩にしみ入る蝉の声

   評:前句の「に」は焦点化がない。後句の「や」は己の「閑寂」さに深く入り込む。

     実景があり、心象が入っている。

3 表現工夫

例1 × 恋猫の背中の傷は今朝静か

   〇 恋猫の背中の傷を日が舐むる

 評:前句は写生一本。感動無し。後句は朝日が傷を舐め、恋猫ゆえの哀感あり。

  

 先生の講義はいずれも添削後がよいのはわかります。しかし、作句の段階で気が付くかといえば、難しいかな。作句の後、振り返ってみることが佳い句になるやもしれません。

あの芭蕉にしたって、後で何回も添削したようですから。 

 余裕をもって俳句を作ること、添削の時間も含めて。これが大事ですね。

 

今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

剪定も束の間密集何のせい

つる野菜目となり手となる魔法ひげ🎉🎉

胡瓜の葉丸めて天日に対抗す💐

へばりつく梅雨の埃は世の鏡💐💐

時期外れ行く末案じるつばめの子

七夕や遠き家族に幸あれと

紫陽花に手毬の時代夢となる🎉

日光へと珍道中よ夏の旅

田園アートの紫式部秋となり

迷路なり四面楚歌かな蟻地獄🎆🎉🎉

熱き恋淡き思いの砂時計🎉

風物詩花火大会湖(うみ)照らす

夏の球場木陰を探す逃避ぐせ

ホームランビール片手に沸くドーム

妻の留守茄子の塩もみ一人酒

束の間の孤独に入りぬ驟雨くる

骨欠けし団扇が醸す夜店の灯🎉

雨が降る紫陽花主役取り戻す

夢うつつ行きつ戻りつ夏布団💐💐

喉元を通るそうめん負を忘る🎉

生きている証一句よ夏の風🎉

夏嵐青春のごと駆けゆく夜🎊

ラムネ玉夕日閉じ込めあと一滴

雷鳴りて一句浮かびぬ解放感

今日もまた胡瓜もみおり指のしわ

小半日診療終えて炎天へ

ざぶとん綿縒り母の居た場所藤寝椅子

夏青し僕だけこない変声期🎊💐🎉

野良仕事酷暑にうだりジャングルよ

暗闇に歓声上げる弁天花火

 

次回の勉強会は、

令和6年8月7日(水)13:30~   

 

初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和6年6 月12日(水)午後1時30分~ つどいの家

このところ各地で高温の記録が相次いでいます。

ここ馬郡も好天(そんなに熱いとは感じないですが)です。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」 

1.大景を「身近な小物体」に引き絞って詠む

〇 天高しごくりと動く喉仏(天が大、喉仏が小)

 〇 一村を湖底にしづめ九輪草(村が大、九輪草が小)

 〇 鉄塔と一つに暮れぬ寒鴉(鉄塔が大、寒鴉が小)

 × 全山の枯れて田畑の枯れにけり(山が大、田畑も大)

 〇 全山の枯れて薬罐の沸騰す(全山は大、薬罐は小)

2 短歌は線、俳句は点(短歌は心を、俳句は物や事を余情・余白に)

 〇 いもうとがくるくる回るシャボン玉(懐かしさの省略と余情をくみとる)

 〇 恋文の起承転転さくらんぼ(恋の情ケシ、転結でなく転転)

 〇 それとなく波のことばや缶ビール(余情あり)

 × 無常なる波寄せてくる缶ビール(感情ありすぎる)

3 経験や思い出をたぐらせる一瞬の詩 

 〇 東風(こち)の家の子を生み柱光りたる(具象を強く)

 〇 帰りては観る晩秋の大きな木(なんでもない景色を・・)

 〇 初蝶を見し眼に都会の灯の映る(思い出と違う現実)

 × こがらしの窓をのぞけば星ひとつ(単純、継続がない)

4 内観造形

 〇 たまゆらの夢に群がる冬の蝶(内観心象)

 〇 飛翔する鷲のこころは旅愁かも

 〇 雪山のそびえて幽(くら)み夜の果て(人の魂と一体となった詩美)

 × 天の川終わりなき美を見せにけり(一元的、余情がない)

 

 

 今回の先生の講義(添削)は言わんとすることはわかるのですが、語彙不足からでしょうか、自分で作るとなると思うようにはできないものです。その中で、1の「大景を小景に引き絞る」を心にとめたいと思います。

 

今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

万緑の社会に背くにきび面💐

診察の前後の日常木下闇🎉

十列蘭命かけ咲く初夏が来ぬ

夏めきてヨガマット青空も青

夏は来ぬやまいと吹っ切れ前進へ

新緑の瞬くひかりは深緑へ

年を経て二度目開花の日々草

梅酒びん三種和合の棲家かな

大口あけアピール合戦雛つばめ💐

今朝もまた地面にいくつ幼な柿

ブーゲンビリアフェンス舞台にワルツ舞ふ🎉

家事拒否とこころの声に従ふ初夏🎆

茹でたての空豆をかむ愛の味

傘に雨音ぽつり額に鶯鳴く

誰誘ふまっ赤なドレス孔雀草🎉

夏限定の美酒ほろり薄化粧🎉

春荒れの違法合法闇の中

母の日に届く白足袋茶席へと

泥んこではしゃぐ子達の田植かな💐

夏場所来県民力士に力瘤

六月の戦火渦中に誕生す

梅雨の入り草木すくすく背比べ

黒南風に住み家求めて鳥群るる🎉

更衣(ころもがえ)出し入れ悩む天気予報

昼寝より覚めればいずこの他郷かな

雹の音農作物の破れ泣く

梅雨晴れ間イルカのショーの大拍手

草むしる帽子よこちょに昼下がり

時の日や数字を持たぬ花時計🎉🎉🎉🎉

巫女が来る小国の森の花菖蒲

歳という諦観飲めず夏は来ぬ💐🎉

さりげなく螢袋の鄙の家

賽銭の音くぐもれる走梅雨💐

積読(つんどく)の栞気になる走梅雨💐

十薬の花のプラスに我プラス

梔子(くちなし)の香れば褪せてゆく色香

地雷なきにっぽんの畑に茄子の花💐💐

枇杷実る身を捥ぐ指も枇杷の形

今年の梅雨豪雨となりて空憎む

これぞ吉兆榊花咲く梅雨晴れ間🎉

 

次回の勉強会は、

令和6年7月10日(水)13:30~   

 

初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和6年5 月8日(水)午後1時30分~ つどいの家

晴れですが、湿度が低いせいか日影ではひんやりです。

 

今月の受講生の俳句を紹介します。

今回は受講者がお互いの句を評価し、特選に選んだ句は💐準特選は🎉とします。

酸っぱさに目もとけいれん夏みかん

母待つ子おぼろ月出で花の下

花すぎてどっと咲き出すつつじかな

春惜しむ耳に残りし父の声🎉🎉🎉

日暮れても黄の彩かさ菜の花よ💐

鳥交(さか)る雨水チュチュに猫狙う

目を凝らす満開の藤陽炎に

春蒔きの落花啄(すいば)む百千鳥

子供飛びはね公園目掛け蝶が舞う

春の庭移り行く色目まぐるし

からり晴れパノラマ若葉に後ずさり

世の習い我に悟れと春落葉💐

啓蟄ぞ姿見眺め胸伸ばす🎉

いつも道つつじ満開ランウエイ

蝶舞々旬すぎビオラは蜜もなく

たんぽぽの真白き綿毛風急かす

啄木忌庶民の悲喜を我もまた💐🎉

石楠花(しゃくなげ)や家族寄り添ひ笑顔満つ🎉

雑草に吾子生いたち見花一輪

五月晴れ掃除勤しみ娘に見栄を

五月雨の蹴球競う汗と涙

鯉のぼり川面に泳ぐ太田川

藤棚や甘き香りに蜂乱舞

菖蒲張り長湯に想う昔日か

五月富士霞む稜線その先に

雨上がり煌めく雫青楓🎉

靴底に触れる突起や筍の芽🎉

風馨る腹いっぱいの鯉およぐ

未来図が大空に舞う凧祭り🎉🎉🎉

飲み比べ新茶香れる品評会🎉

白藤や揺れし花房ただよう香

日を通し切先のぞく軒菖蒲

初子凧大空に舞い端午かな

峠道青葉時雨に髪ぬらす

老妻と一汁一菜豆御飯

盲目のピアニスト頬春爛漫

風馨る吾が顔探す五百羅漢

初凧の糸目のじじを見つめる児💐🎉

行儀より威勢が勝負鯉のぼり

懸り藤その先でんとからすの巣💐

空指して顔を上げよと咲く紫蘭

ふみきりの音やはらかく迎え梅雨💐

筍のゆであがるまで歳時記繰る

髪束ね出勤の孫(こ)に薫る風

五月雨や龍のうろこの破片(かけら)振る💐💐💐🎉

 

次回の勉強会は、

令和6年6月12日(水)13:30~   

 

初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️   



令和6年4 月10日(水)午後1時30分~ つどいの家

今年の春は天候不順です。風雨あり晴天あり‥‥。

今日は、幸いにも「晴」、しかも比較的暖かい日となりました。

 

  先生の講義:「俳句の添削」

 

例1 × 啓蟄や犬は一心穴掘りぬ

   〇 啓蟄や一心に犬穴掘りぬ

     ・「犬は一心」は突起しリズムが落ち着かない。「一心に犬」でリズムや突起がな

くなる。

例2 × 涅槃西風(にし)喉の渇きし川の魚

   〇 涅槃西風(にし)喉の渇きし思いならむ

     ・「川の魚」の「川」は指定しない。要らない。後句は「自分の思い」も「含めている」

例3 × みひらきて泪溜む嬰(こ)の冬景色 

   〇 みひらきて泪溜むる嬰(こ)冬景色

     ・「嬰」は幼子のこと。「泪」は「涙」より、涙を流している様子が映る。

      前句の「溜む嬰(こ)の」では下五の季語とつながり詩美が空虚。後句のように「溜むる嬰(こ)」と「切れ字」(切れ)を作って、断切を作り広がりの景色とする。

例4 × 鳥雲に父母の戒名覚え得ず

   〇 難しき父母の戒名鳥ぐもり

     ・「覚え得ず」でなく「覚えにくい、難しい」ということ。上五、中七が「きゅうくつ」なので下五は「滑らかに」。

 

 

 今回の先生の講義(添削)は理解するのが難しかったです。語句の入れ替えや動詞のどの形がいいのかは、いろいろな要素がからみ、はっきり言ってよくわかりません。読み直したり考えなおしたり熟考するのはもちろんですが、たくさん作句して俳句に慣れるしかないのかもしれません。

 

今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

清明や蛇口の輝る水光る💐

タイマーに頼りて炊飯春の朝

春の精コップのパセリ育ており

主なき庭をなぐさむ飛花落花🎊💐🎉

尻濡らしどの子も夢中潮干狩

ピアノ聴き絵筆走らす春の月

薄絹に被(おお)われたよう春の月🎉

桜の上はけで引いたか筋雲よ

今日も又機能と同じ春の日よ

ときめきの桜満開描くと決め

政治家の裏金疑惑春がすみ

戦場よ父難聴にホーホケキョ

ジオラマに東京は春電波塔

おにぎりと桜吹雪に老婆4人💐🎉

陽春に思わず寝落ち至福かな💐

春嵐蝶が舞うかの若葉連🎆

早春の詰襟ひやり夢の中

秋葉道豪快放流舞う桜💐🎉

孫の春ネクタイ斜めもすまし顔

タンスの隅埃ふんわり春光る

ベイビーブー耳幸福(しあわせ)な花の雨

紅葉葵芽ぶき始めの小さき手よ

孫船出そっと見守るじじとばば

青木踏みとがり芽のぞく芍薬よ

目覚めよし朝の挨拶ホーホケキョ

人混みや桜喜び乱れ咲き

杜の朝サクサク踏みし春落葉

大志抱く孫の船出よ桜咲く

寝ては覚め句会近づく春の夜💐🎉

花吹雪二人並んで俳句詠む

タンポポの綿毛追いかけはしゃぐ子よ🎉

菜の花に群れるみつばち家どちら

桜舞いの浜松城よ輝ける

峠道桜花一輪凛として

本堂の読経とけこむ雨彼岸💐💐🎉🎉

春落葉踏みしめて行く花の園

仲春や駅の自販機ホットなし💐

こでまりや風の重さで窓叩く

どの家も花博のごと花盛り

旅人になる青春の春の夢

春の宵焼き鳥匂ふ大手門

おにぎりに飛花落花小さな幸福(しあわせ)感

年ごとに愛惜募る桜かな

春の雷吾れ鉄人か闘志満つ🎉🎉

 

次回の勉強会は、

令和6年5月8日(水)13:30~   

 

初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️  



令和6年3 月13日(水)午後1時30分~ つどいの家

昨日の南岸低気圧通過による強風大雨から打って変わって青空天気ですが、冷たく強い風が吹く1日となりました。

 

   先生の講義:「俳句の作り方」:身近な題材(素材、表現)

 

1.老いに対して

例1 × 青年をおどしてゐたる鳥威(おどし)

   〇 年寄りをおどしてゐたる鳥威・・・清水基吉

     ・「青年」の強さより「老い」の弱さの方がよい。

例2 × 短命の朧の中の眼玉かな(即きすぎ、当たり前すぎる。)

   〇 長生きの朧の中の眼玉かな・・・金子兜太

     ・後句の「眼玉」だけ「ぎょろり」がいい。朧はこの先「不明」を重ねている詩美。眼玉は自己の肖像。

2.父母を詠む

例1 〇 父枯れゆく跳べるかたちに靴ぬいで 

   〇 母枯れゆく跳べるかたちに足袋ぬいで・・・中嶋秀子

     ・父より母のほうが味わいがある。季語は足袋。「父枯れ」は「弱る」の意で季語でない。

3.青春性

例1 × 迎え火やからめとられるスパゲッティ

   〇 星祭からめとられるスパゲッティ・・・渡辺洋子

     ・「迎え火」は「亡き人」を迎えるために焚く火。星祭=七夕は男女の恋の夜であり、この方が情趣がある。

4.水

例1 × 梅の咲く終始を水の見尽くせり←冷たい感じ

   〇 飛花までの終始を水の見尽くせり・・・和田耕三郎

     ・飛花=花吹雪。桜の散るまでを山水や谷川が見ているという景佳し。梅はまだ寒い。

 

 俳句は自分と鑑賞者とのやりとりだと言われます。単調な写生的なものや思いが詰まっていないものは駄作のようです。物語性も必要です。作句して、後日、読み直したり考えなおしたり熟考するとよいそうです。

 

今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

春の雨大気がうるむ地がうるむ🎉🎉

春光や社の奥に風流る

雲母(きらら)なる小波(さざなみ)破る鴨一羽

友情の白線流し春浅し

赴任する山の狭間よ雁帰る

校庭の子らを見守る梅の花

朝寝してとがむる妻も夢の中💐🎉

夏みかん酸っぱし吾子の恋愛か

草取りのあとは御馳走春の鳥🎊

しゃぼん玉吹きぬその日の風次第💐

小枝から去ることのみか紅葉散る

追い焚きをせねば出られぬ寒夜の湯

喫茶店出でし会話よ息白し

街路樹のむごき剪定切られたり

時雨来て春日神社を小走りに

門灯の誰を待つのか春の雨💐

スマホ夢中親と気づかぬ春灯(とも)し

草むしりぬいてもぬいても春の庭

いつ会える駅の人混み春のくれ🎊

東京は雪またも南岸低気圧

桜背に自撮りカップル映ゆるとき

春霞む残雪僅か北の峰

さつまいも出番消し去るアリモドキ

枝揺らし花粉放出ショータイム🎉🎉

車押すまあるい背中へ舞う桜💐🎉

木蓮のふふむ尖り芽日差し待つ🎉🎉🎉

夕餉支度段取り悪く春の月

ひな様の供養迷ふや無垢な顔💐🎉

和服着て喜寿のおなごや虫干しつ

梅赤ちゃん寒さなんのと頬染めて💐

芽吹く木のおはよう告げぬ鎮守の森

春一番招いた客の後ずさり

鳥雲に入りて別れのⅤ字飛行

青天の際立つ高さ木蓮かな

彼岸会の母を偲んで十三回忌

東風吹いて釣り釜ゆるる光かな

湖(うみ)の底ワカメゆらゆら春だより💐

通りゃんせ蛇横たわる目覚めつつ🎆

 老犬と老爺競いて春日向💐🎉

 春の京昔に帰る同級生

泣き笑ひ一日毎に日脚伸ぶ🎉

だるま市色も形も干支の数

大根抜く穴に春風満たしたり🎉

 あめつちの中心(なか)に我あり風光る🎊

 椿散り踏みゆく女(ひと)の青き傘

 

次回の勉強会は、

令和6年4月10日(水)13:30~   

 

初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️  



令和6年2 月16日(水)午後1時30分~ つどいの家

記録的な暖かさです。テレビは全国の異常ともいえる暖かさを取り上げています。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」:身近な題材より

 

1.店・職業等

例1 × 薄氷浮く金物屋履物屋(上五と以下のつきすぎ)

   〇 秋落暉浮く金物屋履物屋(中七の「売れない」のぼやき良し)

     ・秋の夕日の物わびしさが生きている。

例2 × 女房をガラスにうつし毛皮店(想いが浅い、さえない)

   〇 旅人をガラスにうつし毛皮店(ガラスと毛皮の対比が見事)

例3 × 不動産屋尾花の波の中沈む(金持ちが芒の中に沈むのはインパクトなし)

   〇 鉄工は尾花の波に来て沈む(大変な鉄工の仕事が思われる、詩がある。)

2.野菜など(魚を含む)

例1 × 菜の花をあまたの人の撫でゆけり(当たり前) 

   〇 葱坊主あまたの人の撫でゆけり(トウの立った、葱坊主は「よくやった」と愛を与える。葱坊主:自分を謙遜して言う。)

例2 × 日毎日ごと日誌に書きぬ青りんご(平穏、当たり前)

   〇 反逆の日誌むしりつ青りんご(どうしても青りんごを摘果する思い)

例3 × 天の川けだものの声龍うごく(美しくない。極端な飛躍。天の川とけだものは離れすぎてる。)

   〇 天の川腸(わた)うつくしき魚遡る(美しい幻想)

 

 

 俳句は瞬間的な一瞬をとらえますが、長いスパン(人生)で再考すると佳い句になります。単調な写生的なものや思いが詰まっていないものは駄作のようですので、作句して、後日、読み直したり考えなおしたり熟考するとよいそうです。

 

今月も受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

地震(なゐ)の地に希望の力春の虹💐💐🎉

どこからか柔毛(にこげ)舞ひ来る春日差🎆💐🎉

天と地と変わらず在りて立春来

我家流具材四種の恵方巻

春寒し野良猫も寝坊の朝の飯

断捨離と違う地震の廃棄物

蠟梅のなぜに下向く花明し

初詣見栄が顔出す段登る💐💐

豆撒きや年毎鬼の顔変わる🎉

気も新た手帳に記す寒の入り

塀の上昼すさまじき猫の恋💐🎉

白梅の花に目白も枝走る

早春の湖釣り人も眩しくて

冴返る玉ネギつかむ冷たき手🎉

春寒し国会内の押し問答

平和とはむなしき響き北の空

描きかけのキャンバスにらみ手にワイン

いつの間に黒いでか雲帰路急ぐ

軽やかに赤いコートが通り過ぎ💐🎉

胸のすくアンサンブルよ春まぢか💐

思春期の冬雲覆うユーチューブ🎉🎉

二日夕燃えるジェット機赤く染め

不曇り検査入院待つ憂鬱💐🎉

せつぶん草我が人生と照らしみる🎉

早春の騒ぐ浜松日本一

所得税裏金狙いクリックオン

涙目へくしゃみ追い打ち春合図

豆撒き会気迫の子らに後ずさり

この冬も過ぎる白粉河鵜宿

今年こそ多柿念じ鋏持つ

病い自慢牛しゃぶ旨し新年会

ちぎり絵の年賀誉められ宙に舞ふ

雪中花背筋伸ばして我が道を

春風のいたずら素早スカートを

柚子味噌やスマホ片手の娘(こ)に習ふ🎉

日向ぼこやうたた寝夢見春の頃

枯木立凍えて光る朝の月

味噌づくり同窓友と孫自慢

から風に背中丸める湖岸の松💐🎉

すきま風涙こらえる避難先

節分や老いの数だけ福は内🎉

じいじ似のエクボ可愛や天使の春

風花に追いかけられて遠回り

殻破り銀の尻尾の猫柳🎆

気休めと手抜き料理よ恵方巻

 

次回の勉強会は、

令和6年3月13日(水)13:30~   

 

初めての方も是非参加ください。

お待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和6年1 月10日(水)午後1時30分~ つどいの家

年が明け、初回の勉強会です。受講生一同気持ちも新たに望みました。

   先生の講義:「俳句の作り方」:新年の句の作り方

 

例1 × 地の底に元日の日のあふれけり(空想、抽象)

   〇 水底に元日の日のあふれけり(新発見)大野林火

例2 × 初日の出枯野のごとく街ねむり(違和感)

   〇 元日や枯野のごとく街ねむり(新年の思い)加藤楸邨

   ・後句の方が景色が大きい。

例3 △ 去年今年ひしめく闇に人だかり(これでもいいが、)

   〇 燃ゆる火にひしめく闇も去年今年(冴えた感性)木下夕爾

例4 × 正月の氷柱清水の中に落つ(写生) 

 〇 正月の雪真清水の中に落つ(雪国の生活)広瀬真人

例5 × 初日さす木はむさし野に残る巨よ(木があいまい)

   〇 初日さす松はむさし野のこる松(数少ない松をむさし野と把握)水原秋櫻子

例6 × 百姓家から色が出て春着の児(上五中七が川柳的)

   〇 一軒家より色が出て春着の児(焦点化がいい)阿波野青畝

例7 △ 朝寝してふるさと思ふひとりかな(これもいいが、)

   〇 初夢にふるさとを見て涙かな(望郷の心佳し)小林一茶

   ・前句の「朝寝」は春眠と同じく、季語 

 

 なかなか、〇×の判断は難しいものがあります。いずれにしても、単調な写生的なものや思いが詰まっていないものは駄作のようです。何か考えさせられる、物語が詰まっているなどの句作りに精進したいものです。以前にも言いましたが、川柳と俳句の違いは、川柳はその場で笑い転げてハイ終わりのようです。

 

いつものように、今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

そろそろリ慣れぬ着付けの二十歳かな🎉

梅の香の匂いたどれば茶室かな

初詣変わらぬ願い厄払い

元旦や朝風呂と新調の服

半世紀歴史を語る餅つき器🎆

寒満月よ叫んでおくれ殺すなと💐

初日受く若者の胸曇りなく💐

孫二十歳葛湯ふく口ひよこ口💐

七草や身も溶けてゆく空の青💐

新玉ねぎの輝る重さよ猫車🎆

木枯らしが吠(な)く過ぎし日巡る風呂🎉

雪が降る雪は厳しと友ポツリ💐

凍てし月息吹きかける仕事終へ

初句会色鉛筆を新調す

老いてこそ新たな重み初日の出🎉🎉

冬の空窓から見ヘる富士の山

空っ風たちむかふ身に力こめ🎉

転寝(うたたね)し独りでつくり晦日蕎麦

年末ジャンボ孫と船旅夢と消へ

一月の玉ねぎ出荷期待こめ

よく生きた悔は残すな年の暮

甘い柿問えば声なくうなずく児

暮れの町スキップ母の前後ろ🎉

一年の案内終えし古暦🎊

年明けに神の怒りか天地ゆれ💐

初茜緞帳上がり笑顔の朝

元日の家族団欒地の叫び

玉葱に旨み増したる空風よ🎊

初春の日の出仰ぎて開運を

孫可愛やいつまで続くお年玉💐

リニア線静岡置き去る師走かな

得気分ぬくぬく寝床冬至朝🎉

我がショット小雪に習う着地点

華咲けり疎遠取り持つサンタ動画🎉🎉

来る年はバネ指倣って飛躍せり

千両の赤き実いずこ空仰ぐ

名知らぬ草白髪整へ新年を

ガラス拭き初冬の日差し独り占め

梅一輪初春祝ひて一番乗り💐

米寿過ぎ元旦地震すべて無と

 

次回の勉強会は、

年明け、令和6年2月14日(水)13:30~   

 

皆さんの参加をお待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和5年12 月13日(水)午後1時30分~ つどいの家

 12月も中旬ですが、晴天・気温が高く(暖かいと言っていいほど)風もない気持ち良い日となりました。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」

1. 俳句は省略の詩

例1 〇 峯雲は贅肉ロダンなら削る(山口誓子)

   ・削ること、それが「しなやかさ」「柔軟さ」を創る。

   × 峯雲は贅肉ロダンなら創る

   ・峯雲は豊かに膨らむ。それが「美」である。それ以上作ってはいけない。美でなくなるから。

例2 〇 冴返る割箸に木の割れる音(土生重次)

   ◎ 冴返る割箸皿の割れる音

   ・後句の方が飛躍がある。「に」を省略、「対比」の「衝撃」がある。

例3 〇 水に尾をつけてはなるる赤とんぼ(伊藤武)

   × 赤とんぼ水に映りてはなれけり

   ・後句は「そのまま」、前句は「詩心」がある。

2. 俳句と川柳の違い(近頃は、お互いに近づいているが・・・)

例1 × 眉ほどになって笑いぬ揚雲雀 

 〇 眉毛ほどのさみしさのあり揚雲雀

 ・前句は「川柳」。中七の面白さ、滑稽味。

    後句は俳句。あこがれの「ひばり」は眉毛ほどの小ささ、遠くに行ってしまった

  さびしさ。

例2 × 落葉焚く上を舞ひ立つ孔雀かな

   〇 落葉焚く上を生きてし鴉なる

   ・前句の取り合わせは滑稽を通り越して異状。・・川柳である。

    後句は「じわっ」と「人生のどうしようもなさ」を暗示。俳句である。

 

 

 先生に俳句を添削していただいている時、先生から「これはできすぎている。盛りすぎ。・・・」と言われることがあります。これは読者の発想・転換を奪うものとして、嫌うようです。10点満点中、8.5点ぐらいの俳句が佳いそうです。読者に読後感を与えるべしというのが、先生からです。

 いつものように、今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

狭庭に咲く梔子(くちなし)ぷくりおちょぼ口

ちぎり絵や青春契りつなぐ秋

秋茜カラス寝倉へ寺の鐘

ななかまどまっ赤な秋の染色家

弾き手に似しマンドリンの音秋日より

アサギマダラ織り成す舞台藤袴

息急(いきせ)きて行き交う人の冬の音

摘み取りて抱えきれない菊残花🎉

モアイ像寒風に立ち故郷(くに)想ふ

風吹けば峰の錦よ万華鏡🎉🎉

花占嫌ひ一枚(ひとひら)残る石蕗(つわ)🎆💐

ちゃんづけで呼ばれし故郷冬日向🎉

檀家なき寺の静謐寒鴉(せいひつかんがらす)💐

紅葉も積もりて千年歴史の地💐

喧噪もフェードアウトの大晦日

しもやけは吾が分身よ共に生く🎉

秋惜しむ道草せがむ影法師💐🎉

黄落(こうらく)や行き交う人の輝けり

裸木や吾が判断の是非いかに💐

赤々と頭上におわす残し柿

ここちよく煙草くゆらし日向ぼこ

冬の暮鳥居に入る夕日かな

柿の枝ふくらむこぶも冬うらら🎉

冬麗の三河路古寺古跡巡る🎉

早朝の湖(うみ)の波にゆれ群れる鴨

冬の富士車内騒めきスマホ向け

愛でる月欲の渦へと月騒ぐ

冬うららコーヒーカップ農の手に🎉

焼芋よ客引寄せる店頭香

肥ゆる秋夫減量独り占め

ふり返り紅葉残して画家去りぬ💐

おでん酒厚あげ大根残すべし

神無月おもい静かに司馬遼読む

レジの列小銭つかめぬかじかむ手

年の瀬の人それぞれの終列車🎊💐💐🎉🎉

神無月祈る手拍子届くやら

年の暮断捨離終えてすきま風🎉

冬ぬくしうたた寝し夢ジャンボ当たる💐

肩寄せあひよろこびのうた師走かな

寒き朝月と金星ランデブー

AIもアンサー降参この秋は

湯気あがる鍋の向こうも至福顔

天高く光る銀粒夢乗せて

獣道露浮く落葉に足取られ

峠道エンジン快調窓は秋

 

次回の勉強会は、

年明け、令和6年1月10日(水)13:30~   

 

皆さんの参加をお待ちしています。

良いお年を🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和5年11 月8日(水)午後1時30分~ つどいの家

つどいの家、室内は窓を全開で快適な居心地です。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」(発想の仕方)

1. イメージの展開

例1 〇 啄木忌空の端より波おこる

   × 啄木忌海の端より波おこる

   (海を空に変えただけで壮大な思索・余情がおこる。)

例2 〇 精霊にほつほつ灯る月見草

   × 十三夜ほつほつ灯る月見草

   (後句は当たり前、季語が二つある。前句には情緒・情趣がある。)

2. 機智・ウイットを出す

例1 〇 水すまし一寸はねて雲に乗る

 × 鮎のぼる一寸はねて雲に乗る

 (後句は当たり前、前句の方が創造の景が佳い。)

例2 〇 旅人ははつと椿になりにけり

   × 旅人ははつと落ち葉に変わりけり

   (後句のイメージはマイナス、前句の一瞬の美が佳い。)

3. 空間と間を味わう

例1 〇 鶏頭に三尺離れもの想ふ

 × 熟し柿三尺離れてもの想ふ

   (前句のふくらみは佳。後句の「熟し柿」は鳥に食べられるかの心配で、詩美・思索はない。)

例2 〇 うつぶせに匙置いて冬日本海

   × うつぶせに匙置いて冬人消えて

   (前句の「ふくらみ」佳し。後句の下五の人事的思索はよいが、「匙置いて」だけでは重み・苦痛が伝わらない。)

 

 俳句を推敲・添削を重ねる中で、ちょっとした「言い回し」「対象変え」・・・などで俳句の趣ががらっと変わる。今後の作句に活かしたいものです。

 

余談①ですが、「ごとく」「・・のような」は使わない。余談②は、句のなかで「・・で」「・・に」「・・も」は嫌うということです。

 いつものように、今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

お見送り背中に刺さるひぐらしの声

吊るし柿包丁仕草母の真似

秋晴れやラケット打音に歳忘れ

カサカサと秋を呼び込む熊手かな🎉

冬花へ席譲る君ありがとう

杜鵑草(ほととぎす)紫の斑(ふ)に風あそぶ

庭の木々沈黙するや秋澄めり💐

口閉ざしご機嫌ななめ通草(あけび)の実

大道芸投げ銭請(こ)うる秋日和

秋愁いムンクの叫び戦禍の子等🎆💐🎉🎉

戸惑いの天気予報や冬支度

渋柿も朱で触発ヒヨドリへ

神無月託す願いは御神木

天高し直立不動で応援歌

山苞(やまづと)の紅葉片手に家路かな🎉🎉

スニーカー試し狭庭の秋うらら

白状の白き輝(ひかり)や秋すがし

秋の夜半(よは)絵本の中にゴッホの絵

肩揚げの千歳飴や地について🎉

露降りて音も地表に付着せり💐🎉🎉

膝痛む筋トレ大切冬雲せまる💐

弾む通夜再開思い秋更ける

棺囲み従姉妹(いとこ)再開はしゃぐ秋

苦うるか立場逆転親と子の🎉

マンション群百舌・カラス鳴く元住処

堤防のまだら色した草紅葉🎉

生垣の剪定のぞき秋うらら

野良猫も寛ぐ日向秋寒し

枝先の山茶花ふたつ秋の昼

妻夜長日本シリーズトラ王者

一日の喧噪治む夜半(よは)の月🎊

せんべいを月と重ねる十三夜

音もなくそっと忍びよる秋の暮

椎の実のしきりに落ちる座禅堂

朱を纏い鬼火となるか烏瓜💐💐💐💐🎉

夏草や闇の実家の狼藉者🎉

つえ持ちてそれでも行くか筒花火

土用波心の傷と格闘す🎆🎉🎉🎉

時乱れ少女半袖秋風なく

一房にぎゅっと丸々黒ぶどう

鳥となり天まで届け秋の空

西の空はかなく消える後の月

釣瓶落としゴルファーかけるサンセット

戦地思ひ身体すくめる秋の雷🎉

初化粧鏡に写す逆さ富士🎊

 

今日も楽しい一日でした。次の勉強会まで句作りに励みましょう

次回の勉強会は、

令和5年12月13日(水)13:30~   

 

皆さんの参加をお待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和5年10 月11日(水)午後1時30分~ つどいの家

  先生の講義:「俳句の作り方」

1. トーンをしめやかに(真鍋呉夫)

例1 夜の雪やラムネの玉は壜の中・・・「夜の雪」は自分の憂い

例2 淡雪や蓋のずれたるマンホール・・・憂い

例3 草市で買ふやはかなきものばかり・・・しんみり

2. 省略のカンドコロ(芝不器男)

例1 風鈴の空は荒星ばかりかな・・・上五の美、中七以後の荒さとの衝撃

例2 まぼろしの国映ろヘリ石鹸玉(しゃぼんだま)・・・シャッターチャンスの集中

例3 一片のパセリ掃かるる暖炉かな・・・場面提示だけ、物語は読者が作る

3. 瞬時の把握(上田五千石)

例1 もがり笛洗ひたてなる星ばかり・・・中七の瞬時の把握

例2 みどり子に光あつまる蝶の昼・・・景の核心をつく、中七の「光」補う「蝶」

例3 牡蠣といふなまめくものを啜りけり・・・これはなにかという感覚

4. エロス(色気、艶)とタナトス(死生観)(大西泰世)

例1 遠火事は杏の花の咲くあたり・・・達観的エロス

例2 遠い日の暗がりにある花暦・・・暗い日々の中の一瞬の青春

例3 号泣の男を曳いて此岸まで・・・あの世から男を現世に連れ戻す

5. 自画像(藤田湘子)

例1 牛の顔よりもあはれに汗の顔・・・挫折感

例2 敵多く汗つよく頸太るなり・・・不惑の四十代

例3 天山の夕空も見ず鷹老いぬ・・・これでいいと自問自答

 

 今回の講義は理解が難しい。そう言われればという感じです。

 

余談で「季語」について。俳句は季語が必要なのですが、正岡子規は「富士山とか戦争・・・(読者がすぐわかるもの)」には季語がなくてもよしとしたそうです。

 

いつものように、今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

ご先祖の再会祝す万華鏡💐

月下美人一夜の祭り寝ずに待つ

手術明け視界良好秋高し🎆

追いつかぬ気候急変冬支度🎉

祭り太鼓コロナ去らばと天に打つ

緑葉や老いを自覚のうろこ雲💐

名月も爆音バイクに雲隠れ

鴨川の鯉も見上げる彼岸花🎆🎉

朽葉落ちひょっこり顔出す治郎柿

秋雨も無心の打ち手よ春日森🎉

夏草の他者寄せつけぬ厚顔ぶり🎉

曼殊沙華我家選びて舞ひ降りぬ

名に負けぬ気丈さ自慢酔芙蓉

冬支度をする間なく秋通り過ぐ

手間暇かけ家族をつなぐ渋皮煮💐🎉

山に入るどこまでも秋響く鈴🎉🎉

里山の彩色急かす秋の声

早や食いは祭り囃子よ喜寿となる💐💐

銀漢や一たす一は二になるや

風立ちぬ身軽な吾に犬跳ねる

校舎前の色変へぬ松幾世紀

濁り酒一口うまき二口も

秋の暮さびしくはなし明日も晴💐🎉🎉

敬老会のおしゃべり十四の頃のこと

秋の蝶紅き蜜吸ふ光吸ふ🎉🎉

秋時雨たまねぎ苗と農夫の背

「イマジン」よ世界の秋を翔(かけ)めぐる💐

秋祭りビールも飲めず痛み止め🎉

赤とんぼ吾子とわからず御澄ましで

草の絮(わた)夫の受診つき添う子

秋めいて畳にあたる日差しのび🎉🎉

人ごゑと線香ゆれる秋彼岸

肌寒や身に引きよせる肌掛けを

どぶろくで野球談議や咲く話

つぎつぎと大太鼓鳴る秋祭

襟足にそっと忍び込む秋の風💐

初嵐田も皆泣き寝いり

備えよと木の実ほうばるリス親子

田舎道秋の七草あと一つ🎉

葛の木に茶花に葛湯技を知る

墓参り炎昼の中永く居ず

天道虫軟着出来ず吾の肩

月見酒友なく窓からちょい見かな

夏の夜我が絵にこぼす一人言💐🎉

来ては消え少し慣れたか大太鼓

 

次回の勉強会は、

令和5年11月8日(水)13:30~

   

 

皆さんの参加をお待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和5年9 月13日(水)午後1時30分~ つどいの家

二三日前は秋を感じさせる気候でしたが、昨日から酷暑の日が始まっています。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」

1. 空間と間

例1 ×冬ぼたん藁の傘より薄日差す

   〇冬ぼたん渭水のやうな空間もつ

  ・前句は当たり前の写生で面白みがない。後句の冷たい空気、即、渭水を持つという佳さ。    

例2 ×うつぶせに匙置いて待つ冬座敷

   〇うつぶせに匙置いて冬日本海

  ・後句の広がり、大きさ佳し。前句の人待ちの冬座敷が身近すぎる。

例3 ×嬰(やや)のこゑも啄木の詩も春の雨

   〇嬰(やや)のこゑも啄木の詩も黴のなか

  ・後句は人生の終わりの時期に遠い「かび」のようなものと感じられる。前句の下句を「木の芽雨」にするとよい。

例4 ×振袖の外側派手に寒牡丹

   〇振袖の内側くらき寒牡丹

  ・前句は「外側」は単純な色彩。後句の内奥は「自分の暗さ」の色の寒牡丹の深み。

  

 今回の講義は解釈が難しいものばかりです。そう言われればという感じです。

 

会員の句の添削時に、芭蕉の「秋深きとなりは何をする人ぞ」があげられ、「秋ふかき」は連体形で次に続くものを連想させる。しかし「秋深し」は終止形でその場かぎりとなる。よって、これは「秋深き」がベストということです。

 

いつものように、今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

朝顔に見とれたたずむよその庭

一息にビール飲み干し声上げる

爽やかさ描けず苛立つ熱帯夜🎉🎉

夕焼に暗くなるまで妻と居る

この道を行くと決断花菖蒲

雨上がり渡ってみたい虹の橋

朝素面昼酒浴びて酔芙蓉

満月や流れる雲とかくれんぼ🎉

孫の声長生きしてねと孫の声

洗濯機回転鈍し夏酷暑💐💐

綿埃じつと動かぬ蒸し風呂日💐

夏雲へ空気吹き込む朝体操

紅満載夏の独演さるすべり🎊💐

朝夕の水やり無力秋近し

夜明け前手足が探す夏布団

葉の上にダイヤ散りばめ白露かな🎉🎉

ぶどう狩り大房ねらふ末っ子よ🎉

床下這ひ白蟻駆除の酷暑かな

ラグビーの「まずは一勝」熱き夜の

時迫り浮かばぬ一句秋夜半💐

袖口のボタン締める今朝の秋🎉

野分過ぎ空蝉ひとつ大手門💐

風も虫も遠慮がちなり夜の秋

ラジオ体操夏の話題は汚染水

虫時雨絵筆に滲む紙の白🎆💐

猫おらぬ十三夜などつまらなき

山間に半日村の秋灯し🎉

路地裏に満月のあり呑み帰🎉

鏡面に色なき風とドライヤー🎆🎉

閉じ込めし朝開放のつゆの玉

土用波弟を打つ告知の波

極暑から釧路に消えて十六夜

旭山白くま見るもバーゲンだ

炎昼にビル影探す交差点💐🎉

稲光闇の静寂ドカーンと

孫と焚く明るさ残る門火かな

蓮池の優雅に乱舞銀やんま

かなかなと通学の子の背中押す

秋晴れや白い航跡銀の糸

いわし雲何かをひとつ忘れ物

身に入むやオンブバッタが子を守る

うたた寝へ隠れ虫の音誘われて🎉

秋風の飛来インコの謎解けず

十六夜の月が湖水に移り住む💐🎉

炎夏果て灰色の古都マウイの空

 

 

次回の勉強会は、

令和5年10月11日(水)13:30~

   

 

皆さんの参加をお待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️  



令和5年8 月9日(水)午後1時30分~ つどいの家

台風6号の影響で毎日のように明け方にひどい雨ですが、その後は晴れて猛暑となる日が続きます。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」

1. 類想句について

類想とは:先行する他の俳句に似ていることを類想といいます。どんなに素敵な句でも先行句があれば、そちらが優先。これが基本です。

 前句より優れたものであれば可という人もいますが・・・先生の考え

例1 ・鶏頭の十四五本もありぬべし・・・正岡子規

   ・初鴉十四五羽とも数ふべし ・・・相生垣瓜人

  「ありぬべし」は「内省」だが「数ふべし」はひびかない。    

例2 ・ぼうたんの百の揺るるは湯のように・・・森澄雄

   ・コスモスの百の揺れだす車椅子  ・・・津田渡

  前句は「新古典」としての詩美がある。後句も「車椅子のひと」の哀れさがあるが、前句を超えれない。

例3 ・白昼の焔見てをり羽抜鶏  ・・・吉田亜司

   ・道路ほど寂しきは無し羽抜鶏・・・永田耕衣

  二句とも同格で秀逸。前句はすね者的ニュアンス、後句の深い認識(人生的寂しさ)

 

2. 対象からの感受・発想

1 ・耳鳴りは肉の笛なり流氷原・・・前田鬼子

  (対象は流氷・そして耳鳴り→その瞬間「肉の笛」の旋律を把握したのだ)

例2 ・彼岸花舌を出したり茫々と・・・川口比呂之

  (彼岸花の蕊→「舌」と感受して人間化)

例3 ・怒涛奏で皆白服の演奏者・・・田中英子

  (オーケストラは怒涛と感受。白服の演奏者からの怒涛の白波が来る

          ―詩美的、韻律的詩美)

例4 ・太陽に迎えられつつ敗れ独楽・・・鈴木六林男

  (敗者への慈愛・哀れより愛の大きさへ転化)

 

 最初の類想句については、いろいろ意見が分かれるようです。

「良し」と「悪し」があるようであれば、作らない方が無難かも。これからも課題としましょう。

 

いつものように、今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

飲めぬのに飲めるふりする酔芙蓉🎉

息をのむ茶室に響く蝉しぐれ💐

潮干狩り蟹に追われて孫涙💐

炎天下水を欲しがる山野草

脳トレに未来占う夜学かな

時の日に生まれし君は今七十

本二冊勿忘草(わすれなぐさ)よ返却日

列車来て迎えし妻の背夏の月💐

吾も咲くどくだみという寂しき名🎆🎉🎉

絵筆手に言葉少なき夏の暮

雷去りて鳥のさえずり朝日さす

浴衣来て青い目で観る古都の町

青すすき風に漂う墓参り

夏草やどこまで伸びる背比べ

海坊主大口開けた土用波🎉

緑映える鏡面の淵蝉しぐれ🎉🎉

凪の宵せめて小風の心待ち

お天道様仰ぐひまわり異種なしか🎉

束の間の至福味わうかき氷

打ち水に風神呼応も風緩し

見舞ひし友蜜柑ゼリーを利かぬ手で

千両や待ち針ほどの青き実つけ🎉🎉

七月尽日差しじりじり栗イガ濃く

冷奴具だくさん入り一汁(ひとじゅう)添へ

盆供養習わぬ教を孫らと読み

空域はここ威風堂々鬼やんま🎉🎉🎉

人もなし色なき風の瓜畑💐

秋立つ日角が取れたか佃煮屋

目つぶれど閃光見える夏の雷

風鈴の風捉えしか鄙の家💐

花畑にうなじの細きモデルをり💐

灸花木に地に這いて道しるべ💐

満中陰志辞書ひく夏の夕べかな

木漏れ日のレースまとひて夏蝶落つ

夏の月赤き呪文のふりそそぐ🎆💐

青空に待ちわびる喜雨明日も晴れ

三十三度C団扇パタパタ涼遠し

色・味グーざるの梅干しつまみ食い

涼と幸花火見ながらりんご飴

病葉や手のひらの薬数え見る

突然にドラマ音声(おと)消す蝉時雨

目覚ましか雷鳴響き雨の朝

梅雨明けも沸騰列島続く日々🎉

乾きもの麦酒片手に咲く話

緑陰や日向の岸辺遊ぶ児ら

 

次回の勉強会は、

令和5年9月13日(水)13:30~

   

 

皆さんの参加をお待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和5年7 月12日(水)午後1時30分~ つどいの家

気温の高い日が続きます。

受講生の皆さん、1か月の成果を携え自信満々の顔、顔、顔です。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」

クイズ形式で考えてみましょう。

1. 老いを楽しむ

例1 妻の世界(     )の世界へ黒揚羽

   A 子ども  B われ          正解:B(黒は不吉なのでB

例2 老人のすぐ近くまで(     )

   A 花ざかり  B 梅雨の蝶       正解:ABだと前半と雰囲気が同じ、

                           Aが老人と対立して良い。) 

例3 自らをバイクで(     )へ

   A 道なき冬山  B 花の姥捨て     正解:BAは可哀そう、あわれ漂う)

例4 としよりの(     )あそぶ栗の花

   A うしろ手  B 白髪の        正解:ABだと面白くない)

2. メルヘンへ転化

例1 紙風船ぽんぽん(     )が返事する

   A 扉    B 蔵           正解:BAよりBが面白い)    

例2 顔を剃る(     )のうたげかな

   A ポンポンダリア  B 泡立草     正解:ABはつきすぎ)

例3 猫やなぎ 銀のマントを(     )

   A 付けなさい  B お脱ぎなさい    正解:B(殻を脱いで緑色に・・)

    

 

 私たち世代の作句の心構えとして、こんな題材はということです。作句で苦労する私たち、チャレンジしてみましょう。

 

 

 

いつものように、今月の受講生の俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

朝焼けの雲海浮かぶ富士の山

通学路子らの背をおす蝉しぐれ

薄日さす妻とくぐりし茅の輪かな

潮騒の音聞きながら草刈す

散歩道潮の香運ぶ南風💐

盆休み父母と語らう供養塔

残菜の肥を頼りにトマト植え

夏帯に母の面影重ね見る

鬼が追う缶蹴飛ばし夏夕焼け🎉🎉

歩めども道のり遠き蟻の列🎉🎉

睡蓮はモネのやさしさ今盛り

夕立の激しきさまは今日の我れ🎆

帰るまで枯れずにいるかひまわりよ

籐椅子でおのれ励まし日記書く

飲むほどに玉がじゃましたラムネかな

夕闇に閃光光る梅雨の雷

梅雨晴間額にしずく杜の朝

コロナ明けがまん続けた蝉も鳴く

雲破り大輪咲けと花火打つ

だしの波こわさ知らずの親子連れ

朝顔の育み水差す渡来虫

目鼻口包み込むかの梅雨曇り

青葉抜け幻想誘う白線光💐

じっとりと潮風運ぶ波の音

神武陵青山変わらぬ六〇年

おばあちゃんおねだり上手の初夏メール🎊

のうぜんかずら貴方好きよと巻きつきて💐

ぼっち「イヤ」西瓜寄り添ひ朝日浴び

年金の支給列なしうな丼や

緑陰で猫じゃれあひてはっけよい

七夕や星のしずくを探す畑💐

夏山の槍、半白の回想

ゆっくりと自分史めくる遠花火🎊💐🎉

迫る蚊や喜寿に遠慮するでなし

コーヒーを飲んで数独今日は夏至💐

瓶の中己の宇宙水中花💐🎉🎉

歳時記に指はさまれて午睡かな

一粒の砂の感触素足かな

蝉三日命滾らす八年分💐🎉

白き波鈍色の浜熱帯夜

五十年の母校の夏のエトランゼ(異邦人)

交差点の汗拭うシャツ覗く肌

日取虫引き寄せられ引き寄せる

燕とぶ衝立向こう縮む母🎉

五月闇吠えた気まずさ主の陰💐

 

 

次回の勉強会は、

令和5年8月9日(水)13:30~

   

 

皆さんの参加をお待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和5年6 月14日(水)午後1時30分~ つどいの家

「曇り、むし暑い」典型的な梅雨気候です。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」(日常生活から、野菜・魚など)新しい素材・表現を俳句に活かす。

クイズ形式で考えてみましょう。

1. 野菜

例1 機嫌よく枝豆青く[     ]

   A 茹であがる  B 太りたる          正解:A 

例2 月の出て浮足立ちし[     ]・・・心象風景

   A たけのこよ  B 茸かな           正解:B

例3 大根引き没日と競ふ[     ]

   A あと二本  B もう一本           正解:B ……(没日;夕日、夕暮れ のこと)

 

2.

例1 鯉を煮る匂ひ終日 [     ]

   A 寒き日よ  B 暑き日よ           正解:A ……(緋鯉、錦鯉は夏の季語)

例2 落鮎の火に炙らるる [     ]かな

   A 日暮  B 山河               正解:B ……(落鮎の小に対する大の山河が適)

例3 ふぐさしの透きとほりたる [     ]かな

   A 逢瀬  B 別れ               正解:A ……(Aのほうが情緒が広がる)

 

3. 果物

例1 [     ]まことに天衣無縫なり

   A メロンの網  B 大南瓜           正解:A 

例2 川を見る[     ]の皮は手より落つ

   A りんご  B バナナ             正解:B

例3 白ぶだう母の [     ]とも違ふ

   A 乳房  B 匂ひ               正解:A

 

 

 日常生活のものは、こんなものが題材にならないのではと思いますが、思い切って使ってみるのも面白いのかなと思います。チャレンジしてみましょう。 

 

いつものように、今月の受講生俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

緑陰や「カーン」・騒めきグランドゴルフ

お自腹(じふく)よ風炉(ふろ)茶いただき響く湯音(ゆね)

薫風や和食十年文化財

羽抜鳥(はぬけどり)雨音強し外れトイ

老鶯やるぞ奮起の団塊世代

荒南風(あらはえ)は潮騒の音運ぶ闇💐💐🎊🎉

夏の朝グミで宴会小鳥達

峠道青葉時雨に頬ぬらす

心太(ところてん)シニア会合話し咲く

曇天に鮮やか四葩葩(よひら)咲く古寺

落雷が肩に落ちたかこの痛さ

七変化心迷わす紫陽花よ🎉

雨上がり微笑み返す夏椿

狂ったかパソコンに聞く夏嵐

迷路かな槙囲い入る揚羽蝶

まだ未完さらりと無常梅雨に入る

永らえてわが身を置いた五月かな

籐椅子に深々座る老いの父

別世界これから始まる蚊帳の中💐🎊🎉🎉

五月雨の流れみつめて得心す

明日雨か湖面に這うよう燕とぶ💐

父の日に生きる励みよ孫の声

黒南風や太鼓たたいて波小僧🎆💐🎉🎉

湯気あがるそら豆つるりエメラルド

雨上がり落胆誘う柿落果

旬過ぎも雌蕊(めしべ)に花冠世に未練💐🎊🎉🎉🎉

網探るゴーヤ巻きひげ忍びの手

霧の奥影絵に浮かぶ皐富士💐

ピーヒョロロ澄みし美声に初夏目覚め

薔薇トンネル手入れは夫と妻笑みて

緑陰で「エデンの東」猫聴き惚れ

顔面に蜘蛛の巣ネット美顔泣く🎉

やらねばと思えど出来ぬ夏愁(うれ)ひ

運動会旗振る親の息あがる

桜月夜烏も酔うか線の上

種蒔きし鳥かロマンの枇杷めざす

蝸牛吾にはできぬその歩み

紫陽花の周りに染める命かな

ほたるぶくろよ上向け月の蜜を吸へ🎉

日傘さす紺の刺繍は妣(はは)のかさ🎆

生きるため食えば撃たれる鵜の幾羽💐

梅雨寒や木乃伊(みいら)の指の白く見ゆ💐

黒南風や新聞届く午前四時

  

 

次回の勉強会は、

令和5年7月12日(水)13:30~

   

皆さんの参加をお待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和5年5 月10日(水)午後1時30分~ つどいの家

風馨る五月、受講生も全員はつらつです。今日も作句🖊️に意欲満々

 

  先生の講義:「俳句の作り方」

作句には、①強弱とトーン、②デフォルメ、③「つかず」と「離れず」が重要です。

例1 仁王の胸割れしを蟻ののぼりをり

    強の仁王、弱の蟻の対比美。自分を投影している。

例2 刃物とぐ人に道問ふ蛍草

    刃物の強、蛍草の弱

例3 ぐらぐらの赤子の頭五月富士

    ぐらぐらが弱、五月富士が強。アンバランスの美

例4 雨濡れの松を見入りぬ衣更

    雨濡れの松が弱で汚い。対して衣替はすっきりした美であり味わいがある。

問1 たんぽぽの「     」宙(たか)ぐもり

    「   」に入る語句は ①四つの咲きて、②百を咲かせて のいずれが良いか?

   正解は②です。理由は誇張の方が驚きがある。

問2 水馬(あめんぼう)ぶつかりて水「     」

    「   」に入る語句は ①やぶれたり、②波うてり のいずれが良いか?

   正解は①です。②はそのままの写生で弱い。

例5 〇菜の花の暮るるとき出づ金の星(意外性)

   ×菜の花の暮るるとき出づ二日月(本当はそんな月がでていたかも?でも弱い)

例6 〇白梅に一人の女あらわれぬ(詩美あり)

   ×白梅に四人の女おしゃべりす(詩がない、日常的)

例7 〇海のにほひ消ゆることなく受験生(海の方が強)

   ×田のにほひ消ゆることなく受験生(田畑の労働と受験は合わない、現実的すぎる)

例8 〇ひよどりはさみしき刻を過ごしけり(自分と一体)

   ×うぐいすはさみしき刻を唄ふなり(うぐいすとさびしいは無理がある)

 

 

 言われてみれば、そうかなと納得はします。自分の主張を表現するのに、特に強弱はかかせません。作句の時に振り返りたいと思います。

 

いつものように、今月の受講生俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

葉桜や空間(すきま)の空の青の濃さ

赤色で書き込む予定風馨る💐

鯨となる見果てぬ夢の白子干し💐💐🎉

夕焼雲鬼の住処(すみか)は闇の中

大型のクレーン見上ぐ鯉一流🎆

朝掃除ホッと一息春火鉢

春日傘花躍動すガーデンパーク

春黄砂我が青春はセピア色🎊🎉🎉

暮の春窓越しの母吾子と知らず💐

うぐいすや山刺す鳴(めい)ホーホケキョ

顔痛し野菜も痛し黄砂ふる

五月晴階段上る人の波

春塵に人も車も薄化粧

新緑の木立をくぐり竜山路

子供のドームに響く歓喜の渦

喜寿祝夫婦で憩う山女の宿

五月晴れ碧を突き刺す飛行機雲💐🎉

風吹けば緑おりなす夏木立

山歩き茶畑保養一休み💐

若芝にボール踊りてカップイン

吹き流し絡む矢車一夜干し

愛犬の甘え上手よ春の宵

老夫婦二人で一人五月晴れ

ホームラン兜凛々しき勇者かな

ベランダに見え隠れする鯉のぼり

トランプをズルしてあがる春の夜

名も知らぬ華の芽いでし狭き庭

春祭り古き映画を観ておりし

坂登り春の海みて妻といる

桜絵みて涙出づるという人あり🎉🎉

春雨へペダル踏み込む新入生

完熟へ六月の長旅柿花芽💐💐🎉

朝まだき軒先かしまし初燕

老いの葉と主役変わりて若葉伸ぶ

春更けて茎曲がりつつ残り花

窓越しにつつじ揺らされ風あそぶ

頬赤らめ何恥じらふか梅の実よ💐🎉

下弦の月ダイヤ輝く目映(まばゆ)さよ💐

空豆のさやぷっくりと赤ワイン

青空にそっと寄り添ふ泳ぐ鯉

木々わたる草笛の風ボート漕ぐ

五月雨机下に錆びたる鉄アレー🎊🎉🎉

電線の烏動じず春疾風(はやて)🎉

シャボン玉思わず歩とめ行方追う🎉

オイショオイショと気合いと緊張初子凧💐

 

 

次回の勉強会は、

令和5年6月14日(水)13:30~

   

皆さんの参加をお待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️ 



令和5年 4 月12日(水)午後1時30分~ つどいの家

世は春を謳歌しています。

 

  先生の講義:「俳句の作り方」

俳句には、余白・余情(ふくらみ、物語性)が必要です。

1、 ドラマを仕立てる

例1、 足袋つぐやノラともならず教師妻・・・杉田久女……(ノラとはイプセンの「人形の家」の主人公。作者の思いを伝える。)

例2、 雪はげし抱かれて息のつまりしこと・・・橋本多佳子……(映画のワンシーンのような。物語性がある。)

例3、 かはほりは月夜の襁褓(むつき)嗅ぎました・・・篠原鳳作……(かはほりは蝙蝠のこと。昔話の出だしのフレーズ。)

2、 歴史を題材に

 例1、天平のをとめぞ立てる雛(ひいな)かな・・・水原秋桜子……(天平時代へタイムスリップ)

 例2、向日葵や信長の首斬り落とす・・・角川春樹

3、 変身する

 例1、冬蝶として汽罐車のそばとほる・・・秋元不死男

 例2、千年を目覚めてみれば山椒魚・・・野中亮介……(魚を見て想像した、スケールの大きさ。)

 例3、汗かきてすこし私の蒸発す・・・坊城俊樹

4、 虚を実に転じる

 例1、未来より滝を吹き割る風来たる・・・夏石番矢……(知的すぎる、景が小さい。)

 例2、春愁を踏んづけていく象がいて・・・岸本マチ子……(自分の中に、どうしようもない象がいる。)

 

 

 いざ作句となると、思い浮かばないことだらけです。

 作句した後で読み返す時などに参考になればと思います。

 俳句の「余白・余情」は大事にしたいものです。

 

いつものように、今月の受講生俳句を紹介します。

俳句の後の🎆は先生が選んだ特選、🎊は準特選です受講者もお互いの句を評価し特選に選んだ句は💐、準特選は🎉です。

春宵は歌舞伎の世界背をのばす

啓蟄か心の虫も落ち着かず🎆💐💐🎉

花が散る古城を支ふ野面積み💐

雨上がりうぐいす声透き通る

親と子の期待と不安花時雨💐

光る風まといてH3(エイチ・スリー)海底へ

四つんばいの草抜く背に法・法華経

沈む箸ひろえば桶の水温し💐

落花一面踏み出す一歩躊躇せり🎉

小手毬や髪振り乱す連獅子か🎊💐

花祭り母をおもひて甘茶そそぐ

芽吹く木々栄枯盛衰春落葉

桜散り風に踊る花の舞い🎉

春筍の初物食しエゴミよし

ヤッホーにうぐいす答えてこだまする

春愁や政治家までもまでも握手会

小人パスモ四月一日パスできず

山笑う伏見にぎわうインバンド

焼山のここだ送火黒き「大」🎉🎉

席ゆずられ気はずかしの落花(らくくわ)🎉🎉

列島を桜で染める至福の刻(とき)

そのうちに涅槃のような昼寝かな🎆💐🎉

どの会も最高齢にに近づく春

句の出来ぬ机の横にシクラメン🎉

桜の下もいちど逢いたい友がいる

世界へと羽ばたく魔球春の夢

孫からの合格メール春うらら

車窓から桜並木と旅をする

疼く肩稽古で紛らす春時雨

出来ぬ所作出来てた作業散る桜🎉🎉🎉

椿落ち地赤く染めて二度咲けり

こでまりの白く輝く新入生

窓拭き終え心晴れやか青い空

桜雨ベイビーブーを堪能す

芝桜春の芽吹きよ庭赤く

春嵐悲しき新芽空に舞う🎉

いつからか国中くしゃみ杉花粉

車椅子背中へ優し花吹雪

山桜若葉と競演とき止まる💐

頭垂れ佇むわらびモアイ像🎊💐🎉

友の老い浮世話の彼岸会も

永き日に猫毛づくろい欠伸うつる

咲きほこる花浮立たす雪洞や

我妻と結婚記念日木の芽時

春暑しのどごしうまし生ビール

 

次回の勉強会は、

令和5年5月10日(水)13:30~

   

皆さんの参加をお待ちしています。🙋‍♀️🙋‍♂️