令和5年 3 月8日(水)午後1時30分~ つどいの家
風穏やか、花曇、春本番の陽気です。
○ 先生の講義:「俳句の作り方」(季語が動くとは)
今回は、作品の「 」内に語句を選ぶものです。
例1:「 」命燃やして堪えにけり
①梅の花(陳腐)、②白百合(大正ロマン)、③冬薔薇(強さあり、不可)、④冬紅葉(正解)
例2:栗の花少年ドアを「 」
①あけ切って、②閉め切って・・・
思春期の秘密性を持つ少年なら②が正解
例3:「 」水子も夢を見る頃ぞ
①冬満月、②満月や、③春満月
生れ出ることなしにあの世に行った我が子の思いは③である。温かみがある。①は寂しい。
例4:貨車だけがゆっくり過ぎぬ「 」
①たんぽぽよ、②花吹雪、③梅の花、④すみれ草
貨車という強と荒の形に対比させるのは、弱い小さな身ぎれいな④が正解
例5:「 」きのふは柩通りたる
①春立つや、②年の暮れ、③草紅葉、④春の雪
柩が通るところは②ではない、①は目出度い、④はつきすぎ、正解は③
例6:雲雀落ち天に「 」残りけり
①銀貨、②青空、③太陽、④金粉
落ちひばりの声が残っている感じは④である。
例7:春雨や濡れて「 」がゆく
①半平太、②左官屋、③新聞屋
①だと川柳、③は俳句的情緒がある
いずれも「 」内に入れる語句を選ぶわけですが、説明を聞けばなるほどと納得。しかし、いざ自分が作るとなると迷います。まず入れる語彙が見つからない、いくつか見つかればしめたものですが?そのあと、どれを入れたらよいか?
いつものように、今月の受講生俳句を紹介します。
俳句の後の💐と🎉は、受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を示します。
今回から先生が選んだ特選、準特選を紹介します。先生の特選は🎆、準特選は🎊です。
雨上がり肌さす風も春近し
梅香る眼下浜名湖長楽寺💐
陽炎やサーファーゆれる遠淡海💐🎉🎉
植木市しゃくやく・ボタン財布のぞく
残り鴨のんびり岸辺おいてけぼり
寒風や勁草ならず我は生く
校庭の隅に今年も山桜
命なり梅の切り株花一輪💐
生海苔や厨房満ちる潮の風🎉🎉
犬駆ける土筆の胞子帯模様🎉
家々に春の立ちたる背伸び猫💐
登校のメリメリ快感薄氷🎉
天竜の立春ま近か川柳
ほうれん草濃いめの紅よ何思う
勇気出せ寒風の中梅一輪
半分は私の権利義理のチョコ
地底より皆生き返る雨水かな🎊💐🎉
夫の袖妻にからまる春一番💐💐🎉🎉
万国の女性よ幸あれミモザの日
切手貼る青の封筒春便り💐
新玉畑走る夕刊ブルンブル
春が吹く受診付き添い耳となり
春の宵眠れぬままに母の顔
トルコ・シリア瓦礫に産声春の生
春の使者枝から枝へ名ジャンプ
春陽浴び笑顔賜物顔のしわ
白木蓮蕾のひもを解き始め
梅見旅窓に写りし腰曲げて
見目麗し誰名付けしかぼけの花
啓蟄をそっと踏みしめて歩み出す
風強し遥か遠くで春一番
車椅子雛も飾れずあられ買う💐
外は雨誇らしく咲く寒菖蒲
花曇心の中を見透かされ🎉
lレンズごし河津桜と菜の花を
ウォーキング土筆片手に妻帰宅🎆
満開の梅のトンネル人の波
堤の下浜暴風の緑冴え
偲ぶ会の交わす盃春の海
空指して膨らむ枝先雛人形
孫と観る河津桜に年重ね
鉛筆の踊る宛名に春を見る
凪の湖鷺百年の春日浴び
次回の勉強会は、
令和5年4月12日(水)13:30~
皆さんの参加をお待ちしています。🙋♀️🙋♂️
令和5年 2 月8日(水)午後1時30分~ つどいの家
今日は小春日和がぴったりの日となりました。
○ 先生の講義:「俳句の作り方」(添削実例)
今回は、作品の添削実例をいくつかご紹介します。
例1:×墓標書く指先冬の日のかげり
〇指先に冬日かげりて墓標書く
・・中七で「切れ」を作り、一句にリズムを与える。
例2:×寒椿一二輪咲き美を誇る
〇一輪に二輪はなれて寒椿
・・「美を誇る」の感情は言わない。状態で示す。
例3:×糸とほす極月ひかり撒くすずめ
〇極月の日を撒くすずめ糸とほす
・・句のリズムと形をただす。
例4:×シクラメン矢庭になれし厨事
〇シクラメン男も馴れし厨事
・・「矢庭に」が強すぎる。男に替えて衝撃を出す。
例5:×寒卵くろがねの海もたらすや
〇寒卵くろがねの海波打たむ
・・前句は景見えず。後句「波打たむ」として波動感を出す。「卵」と「くろがね」はよい。
例6:×悲しみの捨て場芒を白く流す
〇悲しみの捨て場に母郷の白芒
・・前句は観念的、後句は具象的。
例7:×歳動きつつあり河口の赤き凍て
〇歳動きつつあり河口紅く凍つ
・・説明的な前句、引き締めて後句→下五
俳句は余白と余情が命です。また、「どっきり、すっきり、はっきり」がいいとよく言われます。さらに、俳句は順序性はきらい、「どうして、そのわけは・・・」など謎解きに向かうのがいい。結果が先、原因は後がいい。
いつものように、今月の受講生俳句を紹介します。
俳句の後の💐と🎉は、受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を示します。
今回から先生が選んだ特選、準特選を紹介します。先生の特選は🎆、準特選は🎊です。
ばば先にじじ様そっと枯れ葉道
寒風の国旗背後に富士誇る
熱々にレモン一振り牡蠣とろり💐
足裏の枯れ葉感触赤児の手🎊🎉
喜寿のうち残る頼みは恵方巻💐
新年も気合ばかりが先行す
陽だまりに猫背で座る今日の幸💐💐🎉
寒の入りもう節分か妻に問う
久々にマスク外せば息白し
菊生けて並んでショパン聴いており
報われぬ辞令今夜はダルマ市🎊💐
厄年は無縁となりて初詣
火をくべて火照る頬にも初日の出
豆を撒く年の数だけ残しつつ
靴ひもを結び直すや春立つ日💐
初閻魔昔も今も嘘はなし
敵味方汗混ざりあふスクラム戦
春近し泡立つ胸の若き血よ🎉
立春や陰から陽へ返し技💐💐🎉
水撒けば小さき虹見ゆ春まぢか💐
陽春や猫どや顔で棚の上🎊
奥山で吐く息白き梅探る
月明り畑一面霜の花🎊
寺跡の石段隠す梅の花🎉
冬木の芽ついばむ目白かな
忘るなよ一・一七震災あかり継ぐ
母入所これでいいんだ手悴む
立春に一寸先の闇発言💐
パタパタと炙る新海苔舞阪産
母の手の透き通る皮膚百年の冬🎊
新年会出迷う寒さ気合エイッ
妻想ひ花柄パジャマ春遠し🎉
梅つぼみ上着脱ぎ捨て白き肌🎆
枯野辺の荒涼風情過ごし日を
チューリップ緑芽尖りて春近し
厄年を法多だんご手に初詣
書き初めを並べて問うたスマホ孫🎉🎉🎉
床の間に蓬莱飾り客を待つ
若竹や節を重ねて天仰ぐ
聴診器運を呼び込め春よ来い🎆
子の笑顔マスク外して鬼は外🎉
涅槃図に今も変わらぬ母想ひ🎊
同窓会童心かえり味噌づくり
ラジオ体操手足しばれる春遠し
立春に輝き競う朝日・月
次回の勉強会は、
令和5年3月8日(水)13:30~
皆さんの参加をお待ちしています。🙋♀️🙋♂️
令和5年 1 月11日(水)午後1時30分~ つどいの家
令和5年が明けて初回の会です。
今日はどんな俳句が詠まれているでしょう。
(写真は、受講生の俳句を互選のかたちで評価しているところです。皆さん真剣❗)
○ 先生の講義:「俳句の作り方」(切れ字について)
前回に引き続いて「切れ字」についてです。今回は「準切れ字」について説明します。。
<し>疑問・推量など、強調
助動詞、過去の「き」の終止形より「し」の連体形のほうが、温和・柔軟で多く用いられる。
例:からたちをわがしほさいの花とせし(藤田湘子):生垣の「からたちの花」、匂いが強く白色で鋭い刺がある。「花とせし」は
「花とせしか」の意味、海辺の私の家の浅黒い顔に潔白の姿を現すからたちよ!
例:水漬(うず)く舟ありて明るし月の波(波多野夾波):半分壊れた水舟に月明の波が来る。美しいが壊れていく哀れさがつのる。
<なり>動作状態を断定する。
例:雪食って笑ひし男味方なり(菅原関也):心象風景
例:鏡餅こころの海の光るなり(鍵和田柚子)
<ず>否定・打消し。簡明に伝える
例:鈴虫のつのりつのる音家興せず(岡田海市):自分が家を興せなかったことを淡々と言っている。
例:白芥子の散りてたちまち白ならず(向笠和子):心象風景
<体言>名詞・代名詞も切れ字になる
例:寒紅梅ひもじくなれば両手出す(大野龍児)
例:原爆忌ただ数珠白く髪白く(小野希北)
<か>詠嘆・疑問など(詠嘆か疑問かはっきりさせる)
例:秋あざみ首をかしげてひと恋ふか(銭谷玲子)
例:年送る礎石のこえか山風か(山田孝子)
<ぬ>終了・完結(否定にも使う)
例:ろうそくの終わりの炎花となりぬ(植田蜜)
例:歳末の使い古しぬ筆持てぬ(植田蜜):前の「ぬ」は終了、後ろの「ぬ」は否定
2回にわたっての切れ字についての講義、あまり気にするとぎこちなくなりますが、参考にしてください。余談ですが、受講生から俳句のパクリについて質問がありました。過去の人の句を参考にして、語句も同じ表現使用するというものです。植田先生は五・七・五の大半が同じであっても、作者が別の感情で描いたものならばパクリとは言えないとおっしゃいました。テレビの夏木先生とは違う説明でした。
切れ字を効果的に使うと、句が生き生きとしてくる。しかし、切れ字の重複は禁句なので要注意。
余談ですが、プレバトで「韻をふむ」俳句が良く考えた句として称賛されるが、新古今和歌集的お遊びになるのは注意したほうがいいとの先生のお話でした。
いつものように、今月の受講生俳句を紹介します。
俳句の後の💐と🎉は、受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を示します。
今回から先生が選んだ特選、準特選を紹介します。先生の特選は🎆、準特選は🎊です。
冬枯れのこの道を行けきりりと背💐
ひれ酒と年越しそばとこれでよし🎆🎉
初日の出何はともあれ合掌す
初詣この日ばかりは皆善人
白菜を胸にかかえて急ぐ子よ
スマホ越し「サンタさんへ」をそっと読む🎉
木の実喰う小鳥へ北風突きささる
北風に剣山姿の松哀れ
霜の朝落書き競演通学路
あれこれと縁起詰め込むおせちかな💐
湯気あがる父の変わりと餅つき機
勝ち負けは無縁となりし柚子湯入る
去年今年少し欠けたる夫婦箸💐💐🎉
様々な生き様がある年賀状
ぷるるんと地球を離陸初日の出
寒風に肥料をまく老夫婦🎉
芝がれの庭の日向に蒲団干す
地平線初曙に波の音
正月や息子夫婦ときりたんぽ
羊日(ようじつ)の息切れひどし初踊り
四日には雄訪(おとな)ひもなくごろ寝する🎉
確と見ゆ雪富士一寸輝けり💐
山茶花や花散りてかほりの精となる💐🎉
枯葉踏む日向の匂いの土となる💐💐
竃(かまど)なし野良の背を押す冬夕焼
冬暁(ふゆあかつき)鳥の編隊影絵舞う💐
読経刻み誓い新たな年頭会
粘り腰若さ求めて雑煮食う
湖に波の花咲く空っ風💐
初夢で豪華客船世界旅🎉
暗やみのラジオ体操冬至の音🎆
大晦日マックに並ぶ車・車
冬苺口いっぱいの孫の笑み
身に迫る医療逼迫イブ寒波
角打ちで語り憂捨て暮れの町🎉🎉
蠟梅や頬寄せ香ぎて匂ひまろく
新春や会おうと決める会える今🎉
何だっけ今聞きし事寒の入り💐
成人式子の先案ず親想ふ
冬暁どこまで澄みし空祈る
モグラ塚地球にもぐり冬至かな
柚子十個湯舟に香り風凍(かぜい)つる🎉
振り向けば未来が開く去年今年(こぞことし)
初夢は千古の雅(みやび)時の人
思い馳せ結び柳の晴れ姿
次回の勉強会は、
令和5年2月8日(水)13:30~
皆さんの参加をお待ちしています。🙋♀️🙋♂️
令和4年 12 月14日(水)午後1時30分~ つどいの家
天気は良いのですが、とにかく風の強い日で、気温も数字以上に寒い感じです。
○ 先生の講義:「俳句の作り方」(切れ字の有り様)
俳句を作るとき、「切れ字」をいれると疑問、感嘆、願望などが強調され効果的です。
<や>感嘆・疑問・願望など(飛躍して別世界へ!)
例:綿虫や山が溜息ついてをり (岡本眸)
例:山の端の夜明けを飛ぶや寒の鶴(桜木俊晃):美しさに感嘆した美意識
<かな>感嘆・詠嘆(句の中で切れないで終わりで切れる)
例:冬蝶の一羽で生きし月日かな(高橋沐石):自分の思いを蝶に託す
例:えんどうの蔓の巡礼ごころかな(藤田筑邨)
<けり>完了・回想の詠嘆(<たり>は<けり>の強調)
例:夕花野風より水の急ぎけり(黛執)
例:大根を蒔き満月となりにけり(中里行雄)
<よ>命令・希望を表し、確認と余情をうながす
例:雪虫よ下駄屋があって子供下駄(榎本冬一郎)
例:磔像の首筋くろく灼くる目よ(佐々木麦童):自分の過去を投影して
<ごと>類似・比喩(やうに、似て、真似の比喩体という)、大げさすぎると逆効果
例:夕蜩貨車より闇の湧くごとし(岩崎勲)
例:蛙鳴く帰郷のごとく退院す(今井令女)
芭蕉の前の俳句(断林派)はよく断定で使った。しかし、強くなりすぎ独断的すぎたきらいがある。
<なり>強い断定
例:鏡餅こころの海の光るなり(鍵和田柚子)
例:雪食って笑ひし男味方なり(菅原鬨也)
切れ字を効果的に使うと、句が生き生きとしてくる。しかし、切れ字の重複は禁句なので要注意。
余談ですが、プレバトで「韻をふむ」俳句が良く考えた句として称賛されるが、新古今和歌集的お遊びになるのは注意したほうがいいとの先生のお話でした。
いつものように、今月の受講生俳句を紹介します。
俳句の後の💐と🎉は、受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を示します。
今回から先生が選んだ特選、準特選を紹介します。先生の特選は🎆、準特選は🎊です。
年の瀬やちんどん太鼓西東
足元を銀杏絨毯暖をとる
小春日に思い出語り茶筅振る💐
塵払い心静かに晦日蕎麦🎉
家路まで遠回りして紅葉狩り
柿の葉のステンド模様並びなし
打てるかな紅葉に触れて旗竿へ
ひらひらと小春日招く古障子💐💐🎉
霜月や喪中の挨拶また一枚
サックサク歩み誘う霜柱🎉
冬日和猫のエサ食うカラスらよ
切干しやちりちり踊る日だまりで💐🎉🎉
熱あつの風呂吹大根箸入れて
新海苔の風味ただよう食卓よ
鈴鹿山下る車窓に散紅葉
雪虫がふわり昭和が香る井戸🎉🎉
短日や残るページを急かされて💐
松の幹待ちし出番と蔦紅葉
風呂あがりしばし余寒の皆既食
小春日や仕事欲張り日が暮れる
寒風突きすずめ整列電線に
南天の赤い灯ともす留守居宅🎉
初冬の朝あいさつ代わり「勝ったね」と
風に舞ふ枯葉追いかけはしゃぐ子と
店舗ごと朝一頭下げ師走へと
空舞台ワルツを踊る皇帝ダリア💐
風呂吹きに息吹きかける息を吸ふ
障子張る真白き向ふに待つ佳き日💐💐
猫か子か私の胸や虎落笛(もがりぶえ)🎆💐🎉
寄せ鍋のいそひで置きぬ鍋のふた
杜の朝鳥居拝めば十五日
風に舞う容姿優雅な冬の鷺🎉
想い人浮かばぬ顔に賀状書く
幼な児に自慢できるよ独楽廻し
散歩道視界良好枯木立
見下ろす皇帝ダリア見上げる君
黄落に無常の風となる友よ💐
コロナ波よショート受け入れ拒否の秋
鳥脅し我が憤りガシャガシャと🎊
秋ユニクロ解らぬままに納得す
欲張った課題山積み年暮れる🎉
来る年は善きか悪しきか日記買う💐
旧友に生存確認賀状書く
マーラーのクライマックス年の暮🎆
初詣で神は何処か襟ただす
次回の勉強会は、
令和5年1月11日(水)13:30~
皆さんの参加をお待ちしています。🙋♀️🙋♂️
令和4年 11 月9日(水)午後1時30分~ つどいの家
絶好の秋日和です。雲ひとつありません❗。
○ 先生の講義:「添削例」
言い回しを変える、助詞の変更、語順を逆にするなど、少しの変更で俳句の内容が劇的に変わり、生き生きとしたものになります。今日は添削例を通して、その変化の妙味を味わいましょう。
① ×風花を肩でうけとめのれん分け(川柳的、説明調)
〇風花や紺ののれんにうら表(「や」の屈折感と「粋」の良さ)
② ×お互いに立つ人あてに春ごたつ(立つ人あてに→川柳的)
〇立つことの多き主婦なり春ごたつ(主婦という健気さ)
③ ×冬日射し猫背の猫が土間に寝る(猫背の猫は言い過ぎ)
〇冬日射し土間に猫背の猫の影(猫背の中七と猫下五に分ける)
④ ×虚ろなる我を引き戻す虫の声(中七が中八でリズムをこわす)
〇虚ろなる吾の声消され虫の声(吾の声が美しい虫の音に転化したという感性・・)
⑤ ×満月やベランダわびしわが思い(わびし←不可、わびしすぎる)
〇満月やベランダにゐる猫の影(もの←猫、具体を示す)
⑥ ×風花の空にいななく駄馬荒き(駄馬は自分のこと、川柳的←荒き)
〇風花の空にいななく荒き駄馬(駄馬に主点を置く)
⑦ ×コスモスや煙たなびく空の青(そのままの写生)
〇コスモスや煙たなびき今日始まる(今日始まるの思い、これに主体をおく)
添削例を参考にして見てください。作句したときに、言い回し、語順替えなど自分で添削してみたらどうでしょう。時間をおいて後で眺めてみるのもいいのでは。
いずれにしても、あまりに理論建てしたりするのは気を付けたいものです。俳句は、読んだ後の抒情・余韻はどうなのかが勝負です。
今月の受講生俳句を紹介します。
俳句の後の💐と🎉は、受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を示します。
今回から先生が選んだ特選、準特選を紹介します。先生の特選は🎆、準特選は🎊です。
児童達課外授業秋の園
照紅葉イルミネーションのとんねる
山頂の紅葉且つ散る御在所山
秋の空遠州灘にシラス船
月光に白くただよふ鱗雲
皴隠し友と行く古都秋深し
紅葉みる音羽の滝の三柄杓
誰かしらマスクとマスク目で合図
爽籟や我が子点前にシャッター音
粟ぜんざい霜月祝う濃茶かな🎉
秋茶会セーラー服のエネルギー
ノルデック防潮堤の秋の波
百舌の声節電叫ぶいつもの政府
蕎麦はるか森町の空甘藷頬張る
日本中ハローウインに紅葉に
いつかくる秋刀魚と熱燗揃う特🎉🎉
秋晴れに二人で散策飴旨し
曲がる都度息のむ紅葉山住路💐💐
紅葉に光の演出ただ吐息
三首領共産砦の冬景色
文庫本栞の紅葉に刻止まる💐
百舌なけり空気の色も変わりける💐🎉🎉🎉
絵が紡ぐ世界に遊ぶ天高し🎊
豚汁の映す青春秋深む
張り合うは顔よ案山子の一人言🎉
空澄みて思わず背伸び電車過ぐ💐🎉
秋風に一葉くるくる五回転
里芋家族何があっても離れぬと🎊
芳しき香吾子に移せ金木犀
見つめられ満月しばし身を隠す
庭に出る茸真白や丸き毒
植木刈る音も匂ひも秋の中💐💐🎉
自動ドア爽涼共に院内へ
赤から緑へまた赤へLEDの紅葉
紅一葉フードに潜むバスの旅💐
城跡や懐古忍びて紅葉散る🎉
月食の闇夜を迎え銀河澄む
枯れ枝に烏の天下熟し柿🎆🎉
神無月氏子で守る月次祭🎉
天高く朝焼け空に鳶舞う
次回の勉強会は、
令和4年12月14日(水)13:30~
皆さんの参加をお待ちしています。🙋♀️🙋♂️
令和4年 10 月12日(水)午後1時30分~ つどいの家
朝から薄曇り、暑くもなく寒くもなく‥‥と、言った具合です。
○ 先生の講義:「新素材の詠み方」
今月も先月に続いて、俳句は花鳥風月、美しいものにとらわれず、ごく日常の出来事・目にするものを赤裸々に詠むこともあります。
新しい場面への挑戦第2段です。
① 「家具・ステッキ・傘」
例:啓蟄や云うこときかぬ小抽出(ひきだし)・・虫は時くればでてくるが、、
例:テーブルの足まで木目夕桜・・すっきりとした綺麗さ
例:春の泥ぴたりととまる白い杖・・目を一点に、写生の句
例:背負籠に傘つきさして麦の波
② 「風呂・新聞・本・ノート」
例:いかるがの風呂ややぬるき神無月
例:やはらかく泡立つわたし九月尽・・自分にうっとりしている
例:鋸(のこ)つつむ古新聞や韮匂ふ
例:朝刊を開きたるとき初音かな・・朝、新聞を開かんとすると、、鴬が
例:霧の話のページ切られし黒鳥舞ふ・・よくない話の、、、
例:春霞漫画の中の汽笛鳴る
③ 「農耕具・足」
例:一本の棒に戻りし案山子かな・・物事の本質
例:こんにゃくのひやひやとして忘れ鍬
例:炎昼へ黒子のごとく釘を打つ・・日焼けした人間が無心に、、
例:はまぐりはみんな退屈足出して
例:歩かねば細くなる足稲の波・・これから、稲刈りが待っているよ、、
俳句の題材としての新素材です。前回同様、格好いい俳句ばかりを習ってきた私たちですが気負わず、日常のありふれたものでつくってみましょう。
自分の作句のための「ひきだし」を増やしたということです。自分が持つ感性・独創性を大事にするのは前回と同じです。
今月の受講生俳句を紹介します。
添削内容に興味のある方は、当会への参加をお待ちしています。
俳句の後の💐と🎉は、受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を示します。
今回から先生が選んだ特選、準特選を紹介します。先生の特選は🎆、準特選は🎊です。
彼岸花鑑賞中かま黒き猫
ピーマンの肉詰め苦戦子の笑顔
人の世の出来事まさか秋日暮れ🎉
カラス群れ落花収穫後請け負ひ
秋明菊心弱きに寄り添ひて🎉
秋彼岸父愛読し「大往生」💐
九月の蚊力しぼりて一撃を
養鰻池うみうお狙う銃の秋
九月夕景自転車走る少年の声
とうがらし戦い挑む美食者達
畑の中塩辛トンボもつれ合う
峠道登り下りも薄紅葉🎉
孫走るリレーメンバー初参加
唐辛子野菜炒めの色合せ💐
引佐路に風吹き匂う早生蜜柑
蘇える徳川菩提秋茶会
ピーマンの香り逃がして酒を飲む🎉
身に入むる主人目で追う老犬よ🎉
海渡るシックな装いアサギマダラ
竿の先目に写り込む鬼やんま
句作りの迷路彷徨う案山子かな💐🎊
手のひらの摩周湖霧散秋の宵💐
虫の音に草踏み超えて時忘る
萱の穂に出番促す虫の声
土道こそ五感浸れる秋の道🎉
麺つゆに息止め三振り唐辛子🎉
秋の雷思はづ数ふ一二三
残蝉の消え入る闇やうどん食ふ💐🎊
風が呼ぶ祭り囃子は隣町🎉
床の間の夢二が覗く十三夜💐💐
いまいまし吾れの背丈を越ゆる草
あといくつ描けるか桜絵具買う
老木も酷暑耐えたか秋近し
友語り身にしむ想い闇に問う
紅葉の息のむ美景れ描けぬ🎆
薔薇科なり声なき主張吾亦紅🎆🎉🎉
エコバッグたためばほのか林檎の香💐
墓参り寂寥増すや秋の蝶💐
無花果の香りも美味と思ふ歳
付け爪の先より赤き唐辛子🎉
ピーマンや皿のすみへと孫の箸💐
初恋の照れて赤らむ酔芙蓉
夕紅葉赤黄緑万華鏡💐
毬栗や痛さの先に渋皮煮
畑作業待ってくれない釣瓶落とし🎉
次回の勉強会は、
令和4年11月9日(水)13:30~
皆さんの参加をお待ちしています。🙋♀️🙋♂️
令和4年 9 月14日(水)午後1時30分~ つどいの家
朝夕過ごしやすくなった感じはしますが、昼はやっぱりエアコンに頼ってます。
○ 先生の講義:「俳句の作り方」(自分のことを詠む)
俳句といえば、花鳥風月、美しいものと考えがちですが、最近はそういったものにこだわらず、自分のことを赤裸々に詠むこともあります。新しい場面への挑戦です。
① 「自画像を詠む」:藤田湘子
例:一度ならぬ不安霜夜のレモンの香・・不安・焦燥を感覚的に
例:天山の夕空も見ず鷹老いぬ・・鷹→自分、男の年輪
② 「青春の喪失感・希望と挫折」:寺山修二
例:秋風やひとさし指は誰の墓・・親しい人の墓、いや自分の墓
例:眼帯に死蝶かくして山河越ゆ・・運命と自分の生
③ 「しめやかなトーン」:真鍋呉夫
例:淡雪や蓋のずれたるマンホール・・物憂げに
例:羅(うすもの)に蛍のやうな子を宿し・・透明感
④ 「ナルシシズム」(自己陶酔):杉田久女
例:花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ・・ナルシシズム
例:海ほうづき口に含めば潮(うしお)の香・・自分の愛しさ
例:鶴の影舞い下りる時大いなる・・外部への反発
⑤ 「象徴としての動物」:金子兜太
例:おおかみに蛍が一つ付いていた・・強者の獣に弱い蛍が付着した。心情を抽象的に
例:今日までジュゴン明日は虎ふぐのわれか・・やさしさと明日のみにくさ
俳句も進化します。今までの固定観念からの脱却です。こんなものも俳句の題材になるのです。前回同様、格好いい俳句ばかりを習ってきた私たちの転換を求められています。挑戦してみましょう。
とはいえ、自分の作句のための「ひきだし」が増えたと思うことで、自分が持つ感性・独創性を大事にするのは前回と同じです。
それでは、いつものように受講生の俳句を紹介します(原句です。先生から添削をいただいていますが、それは内緒です)
添削内容に興味のある方は、当会への参加をお待ちしています。
俳句の後の💐と🎉は、受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を示します。
今回から先生が選んだ特選、準特選を紹介します。先生の特選は🎆、準特選は🎊です。
秋の声ホール狭しとファイブボイス
夏の夜や道路占拠すバイク野郎
敬老に母の賞状祝三枚💐💐🎉
夏休みマックの包み顔覆う💐
反抗期暴走す吾子野分かな🎊
野分吹き風に水かけ苗守る💐
秋めくと落葉ひらりとワルツ舞う
十六夜の月と入浴露天風呂🎉🎉
名月を両手で抱え幸我に
彼岸花すらりと伸びて次の夜へ🎉
梅もどき素焼きの鉢に引き立てられ
里芋葉風のなすまま舞踏団
車椅子妻に押されし夏日暮れ
ま白き雲バニラソフトの味がして🎉
野分吹き畳で防御幼き日
盆波や釣り人達も寄せつけず💐
秋雷の音で目覚めし強き雨
十六夜やちどり足にて友来たる💐
漆黒の野原過行く野分晴
台風や街も田畑荒野原
羽震ふ蝉の骸よ風渡る
つかの間の昔にかえる遠花火
今夜だけ魔法の世界風の盆🎆💐💐💐🎉
野分過ぐハウスの骨の屹立す🎊💐
名月や心の襞か月模様
盆便り兄貴と錯覚甥の声
車椅子今夏も遠い里の海🎉
孫の夏叶えた波間のVサイン
息重し居場所浮かばぬ蒸し風呂日🎉
台風の進路予報に過去甦り
棟上げに盃交わし鰯雲
戦闘だスカート押えて野分かな
庭の柿鳥と競いて物申す
ふわりふわ風船葛母の元
パレードか虫の音楽通学路
夏草は暑さ知らずか遮断機鳴る🎉
スケッチ会おもいおもいの初夏の森
遠い夏あの日ヒーロー三遊間
天罰かこの雨風に打つ手なし
嗤えるか桜枝並べ至福の時🎉
風紋に狼藉の痕野分明
糸底の水滴黒き野分夜
秋彼岸卒塔婆の幅の風が吹く🎆💐
国籍も分からぬ顔よ孫の夏🎉
何無くも笑こぼれたる梨の甘🎉
以上
次回の勉強会は、
令和4年10月12日(水)13:30~
皆さんの参加をお待ちしています。🙋♀️🙋♂️
令和4年 8 月10日(水)午後1時30分~ つどいの家
東京の真夏日日数が新記録だそうです。東京だけでなく浜松も連日猛暑です。
いつものように、先生の講義から紹介します。
○ 先生の講義:「俳句の作り方」(発想法)
「俳句の作り方」として、いろいろ新しい素材を考えてきましたが、今回は発想の転換です。ある意味、今までの自分との決別、思わぬ方向からの思考を考えてみましょう。
① 「核心をつく」:櫂未知子
例:木枯や脂ののった赤ん坊・・鑑賞者の創造へ
例:春は曙そろそろ帰ってくれないか
例:わたくしは夏のさかりのトタン屋根
② 「孤高なる精神」:三橋鷹女
例:ひた泳ぐ白鳥遠きものを視て・・自分の内面を見る
例:白露や死んでゆく日も帯締めて
例:千の蟲鳴く一匹の狂い鳴き・・千をぼかし、一匹を自分と同化する
③ 「微熱のある風景」:坂巻純子
例:ひらきつつ閉じつつ春愁海月かな・・春愁のなか、自分を同化する
例:剪口のぬめりのつよき野水仙
例:船酔のごとくにかがむ藻が咲いて・・病弱の自分と一体化させる
④ 「転じる詩美」(連想・遠近・タイムトラベル):小澤實
例:本の山くづれて遠き海に鮫
例:みちのくのおほてらの池普請かな
例:蟻地獄良寛の毬ころがり来
⑤ 「俗を取り込む」:辻桃子
例:麦秋のソースじゃぶりとアジフライ
例:包丁を持って驟雨にみとれたる
例:ゴム紐に力なくなりみみず鳴く
⑥ 「日常些事の面白さ」:波多野爽波
例:西日さしそこ動かせぬものばかり
例:大金をもちて茅の輪をくぐりけり
本当に「えっ、これが俳句」なんて思ってしまいますが、俳句です。日頃の自分からの脱却です。これを打ち破ると、先が見えてくるのでしょうか。格好いい俳句ばかりを習ってきた私たちの転換を求められています。挑戦してみましょう。
とはいえ、自分の作句のための「ひきだし」が増えたと思うことで、自分が持つ感性・独創性を大事にするのは勿論です。
それでは、いつものように受講生の俳句を紹介します(原句です。先生から添削をいただいていますが、それは内緒です)
添削内容に興味のある方は、当会への参加をお待ちしています。
俳句の後の💐と🎉は、受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を示します。
いつの世も戦のありて蝉しぐれ
秋近し風の細道ゆれる簪🎉🎉🎉
点訳の明(さや)けき音や秋夕焼💐
熱帯夜夜陰に乗りくる踏切音💐💐
白球の消えし真夏の雲少な
ゲリラ雨戦火の地へも向うのか💐
夏草やその勢いを吾欲す🎉
遠き音あれは花火か雷か
手ぬい球棒のバットで夏休み
夏の夜や熱戦グローブ枕もと💐
やっと出番日傘をバットに構える親🎉
熱き茶で昼食しめる大暑なり
句をひねる雑念もなし蝉しぐれ
雨止むを告げるはいつも庭の蝉
床の間の三層の滝夏のよそ
戻り梅雨紫陽花我もと花一輪
油照り紫陽花の群れセピア色
銀屋根へ快音呼び込め浜の風💐
背に娘筋肉パパさん亀泳ぎ💐💐
夏体操反ったつもりも背は無反応
歓喜あり汗と涙のユニホーム
夏休み迷いに迷う断捨離を🎉
烏連呼スイカ畑に見張隊
孫可愛い老いを隠して夏暮れる💐💐🎉
涼求め愛犬さ迷うテーブル下
夏の空グランドに散りプレイボール
年老いた姉弟で行く墓参り
居眠りし花火の音で我にかえる
寺施餓鬼足のしびれにしかめ面🎉
朝早く甘藷(さつまいも)堀汗だくで
夏風にいたずらされて帽子追ふ💐🎉
雑巾がけ素足よろこぶ板廊下
大汗かき冷たき西瓜何よりも
ベンチから仲間鼓舞する主将の夏💐🎉
夏草にかくれんぼする日日草
炎天下アーチ描かれ根尽きる🎉
やま覆う怒る入道夏の雲
耳元で唸る蚊音の熱帯夜
赤とんぼ飛行訓練頭上とぶ
遠花火山から響く音寂し🎉🎉
土用波遠くなりぬる防潮堤
くま蝉のジージーシャシャシャ七日間
土用の丑冥土の土産奮発す🎉🎉
宙を裂く轟音うねる雷よ💐
土摑む野球少年夏誓う
次回の勉強会は、
令和4年9月14日(水)13:30~
皆さんの参加をお待ちしています。🙋♀️🙋♂️
令和4年 7 月13日(水)午後1時30分~ つどいの家
戻り梅雨、そんな感じのムシムシとした午後です。
○ 先生の講義:「俳句の作り方」新素材を詠む続編です。
俳句を作るときは、伝えるべき素材やテーマを探します。日常のものとしては、朝、昼、夕、夜、天、道などの素材のほか、今回は、時計、はきもの、料理、刃物、皿・秤を取り上げてみます。
① 「時計」
例:古時計夜長の婆をきざみけり・・古時計、夜長、婆が刻むに呼応している
例:かたつむり時計の中で子が睡る・・ゆっくりした針の動き、その中で子が睡る
例:終戦忌時計止まりしままであり
② 「はきもの」
例:梅雨明けか鼻緒のぬれし下駄をはく・・女性の日常でしょうか
例:スリッパの花柄見入る受診海女・・いつも見る海の底→花柄
例:光りつつ靴の先端秋野踏む・・女性の靴先でしょうか
③ 「料理」
例:談合の手の内見せぬとろろ汁・・談合ととろろ汁の取り合わせ、とろろ汁(秋)
例:鉄焼いて火の玉にする隙間風
例:鶏頭は松明かかげ地を走る・・鶏頭を松明に見立てる
④ 「刃物」
例:秋高し木綿豆腐に刃を入るる・・木綿のざらつき感が秋高しにマッチしている
例:白桃に入れし刃先の種も割る
例:秋暑かな見えぬ所で減る刃先・・心象風景
⑤ 「皿・秤」
例:銀の皿曇らず雁の渡りけり・・美意識の問題
例:秋風の模様ちがへり皿二つ
例:大暑のせ傾(かし)ぎだしたる台秤・・暑さも秤にのってくる
日常的な物や事象が俳句の題材と言われても、これが俳句にと思って躊躇してしまいます。これを打ち破ると、先が見えてくるのでしょうか。格好いい俳句ばかりを習ってきた私たちの転換を求められています。
それでは、いつものように受講生の俳句を紹介します。
俳句の後の💐と🎉は、受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を示します。
古希祝老いが先立つ夏点前
木漏れ日や単衣着物に汗ぬぐう💐
雑草に紛ぎれ隠れし夏薊
若人の語り明かすや短夜よ
梶の葉や昔語りの古事浮かぶ💐
飲み会や又一人欠け春の雨
紫陽花は小雨の中でやさしい目
絵画展同窓集まり蝉時雨
覚悟せよこの夏草は撃破せん
はかなさに守ってやりたや矢車草
いつの間に猫にとられし夏蒲団
白球も黒く飛びゆく炎天下💐💐💐🎉🎉🎉
緑蔭の下で奏でるトランペット
野良仕事冷えた甘酒妙薬か
選挙速報一番少きビール飲む
黒南風よ茶室の炉釜パチパチと💐
夏の夕ホールはバッハ外はライブ
青嵐久能の石段高くなる🎉
氷水体温越えに一息よ
夢テラス期待の富士は曇隠れ
髪縮み汗も押し込む梅雨曇り
ポール影思わず印す夏至の朝🎉
酷照りに曝す頬へと神の風💐🎉
いずこから舗道にみみず天日干し
じり暑に芋の葉クルクル隠し技
つややかに青春謳歌ミニトマト💐
気の抜けたサイダーの味遠花火
月下美人月と競ひて疲れ果て🎉
苦労買ひ未来の吾子にお中元
冷菓下げ離れし妻に愛叫ぶ
水不足いらぬお世話と梅雨戻る
空蝉(うつぜみ)や武器はいらぬと甲冑脱ぐ
月下美人一夜かぎりの天の川
蝉時雨リズム狂わすティーショット
夜空咲く満天の華七変化
子指刺す蟻一匹の底力🎉🎉
梅雨寒や湿った夜の声密💐
夏座蒲団除けて畳の向脛💐
窓側の冷(ひえ)車窓に流る青田波
それぞれの居場所確保の草を引く
夕立や色褪せたシャツよみがえり🎉
朱を纏い里への出番赤とんぼ💐💐
どくだみや甘き匂ひとなる歳か🎉
炎昼や餌を運ぶ蟻意気盛ん
妻の背に高館守る鬼やんま
次回の勉強会は、
令和4年8月10日(水)13:30~
俳句初心者の方、俳句に興味のある方、参加をお待ちしています。🙋♀️🙋♂️
令和4年 6 月8日(水)午後1時30分~ つどいの家
今日はカラッとした良い天気です。
日差しは強いのですが、窓を開けていると少々肌寒い感じの良い風が入ってきます。
○ 先生の講義:「俳句の作り方」新素材を詠む
俳句を作るときは、伝えるべき素材やテーマを探します。通勤や仕事場、家の中、近所の公園、スーパーなど身近なものにテーマを絞ります。日常のものとしては、朝、昼、夕、夜、天、道などの素材もあります。
① 「朝」
例:声を出す朝の筋肉黄水仙
例:朝夕の鹿のおどろき斑を殖やす・・自分のおどろき
② 「昼」
例:道はづしたき日あり昼蚊を打つ・・自分の思い
例:くちなはの尾を見てからの昼下がり・・怖いという恐れの自分の気持ち
③ 「夕」
例:鉄線のひろげし手より夕の星・・自分の思いから他の景色に移る
例:雨脚の跳ねくる夕べ巴里祭
④ 「夜」
例:たとふれば夜は長靴野水仙・・鬱屈した自分の思い
例:月下美人咲くらし夜の招待状・・招待状と見立てる
⑤ 「天」
例:穴あけて見よ天上の豆の花
例:草田男は天心に在り秋の航
⑥ 「道」
例:空蝉をほこりの道にすててくる
例:路地裏で何処へと問はれ逝く夏よ
雑談で、歳時記は7・5の1オクターブでできている。7つの白鍵、5つの黒鍵ですね。面白いですね。これは私だけでなく、他の人も言っています。また、日本古文も5・7調、や7・5調など、日本歌謡の元になっていますね。
受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を示します。
青葉萌ゆ茶室みなぎる若き在💐
梅雨せまるダーク隠して今日も寄席🎉
春泥に泣かない少女ウクライナ🎉
花梔子(はなくちなし)や古き障子の色となり💐🎉
睡蓮は雨呼び雨に咲く妖女🎉
八百匁慈しむ誕生夏の朝🎉
地に馴染み咲きし紫陽花我家色💐
剣が峰裾に萌葱のダケカンバ🎉
謳歌する若葉の影に老いの枝💐🎉
蕗噛む音(ね)脳裏に浮かぶ母の顔💐💐
梅雨入りや跳ねる黄色の傘と靴🎉
夏めくや寒湿計の出番なる🎉
そこの池静かな波紋カワセミか💐💐
親の恩待てど届かぬ父の日よ💐
紫陽花や淡い色あい和のこころ🎉
令和4年5 月11日(水)午後1時30分~ つどいの家
五月=さわやか、期待どおりの日となりました。
本日も先生から俳句の作り方について講義をいただきましたが、今回はご紹介を割愛させていただきます。
全員の作品から受講者各人が選んだ特選💐と準特選🎉を掲載します。
歳経(ふ)れど変わらず今も軒菖蒲💐💐
天竜のしぶきに踊る鯉のぼり🎉
スマフォから兜凛々しく孫の顔🎉
続く雨木々の微笑み若葉なる🎉🎉
昼寝する夫の白髪よ来し方よ💐🎉
位牌堂合はす手の内五月闇🎉
小手毬の風が唄ふよ数へ歌💐💐
チュチュのごと花弁踊りて紅牡丹🎉
感謝して生きる幸せ揚げ雲雀🎉
落選しクロイチェルソナタ春の雨💐💐
朝寝して名句浮かぶも忘れけり🎉
魚の目とれ軽妙洒脱ホーホケキョ🎉
ふくれっ面何も届かぬ母の日よ💐
こどもの日嫁からもらうプレゼント💐
昼顔の咲いている浜ゴミ拾い🎉
春の京いにしえ訪ね三年坂🎉
折れ落ちた柿の葉裏に花つぼみ💐
夕暮れに水切り飛燕雨まぢか🎉
令和4年4 月13日(水)午後1時30分~ つどいの家
◎ 先生の講義:「俳句の作り方」(新素材について)の説明
俳句は花鳥風月を詠むのが一般的ではあるが、今風(現代)の素材を詠むのも新鮮であり、個性を発揮することもできる。今では、季語でなく、今風語句としてキーワード順に紹介してある本もある。
「車」
・夕焼けの自動ドアから車椅子・・・車椅子という驚き
・歯車の密に噛み合ふ春一番・・・歯車とのドッキング、衝撃でもある
・自転車であの人が行く蓼の花・・・あの人としてぼかした表現で想像させる。
物語性がある
「電化製品」
・春暁をおむおむと泣く冷蔵庫・・・(おむおむ)は擬態語、擬音語
・FMを遠く聴きつつ朝寝かな・・・(朝寝)は春の季語
・雪霏〃と速度保ちてファクシミリ・・・雪が間断なく降るしきる様
「猫・犬」
・猫の足見えて戸を引く雁渡し・・・(雁渡し)は木枯らしの前に吹く風のこと
・冬樹抱く猫科の少女かも知れず
・犬ぎらひ遠まはりして蓼の花
・苔の花つまずき易き犬連れて・・・(つまずき易き犬)連れての散歩
「狂う・笑う・泣く」・・・俳句にはなるべく感情語をださないのが普通だが?
・若竹を百本折りて狂ひそう・・・竹の間引き、百本はおおげさな表現
・笑ひつつ赤き若葉となりしひと・・・頬が赤くなる乙女となりしひと
・泣くほどに楽になりゆく花卯木
・たんぽぽや自動扉(と)回転狂ふ刻・・・(たんぽぽ)は心象か?
前回の講義にもありましたが、素材やテーマの探し方として・・・仕事をしている方は、通勤や仕事場で探せます。家にいる方は、家の中、近所の公園、スーパーなど身近なものにテーマを絞ればよいと思います。
受講者が互選で選んだ特選💐と準特選🎉を掲載します。
信濃行く春を彷徨う蝶に似て💐
散髪す軽き身振るい風馨る💐
うぐいすも今日は正調俳句読む🎉
芽吹き杜世代交代古葉の道💐🎉
兄妹手つなぎうれし花の下🎉
白木蓮春の天使の舞い降りて💐
花咲く時人も桜もそれぞれに💐
凍土溶けキャタピラ埋まる春よ来い💐
獅子ケ鼻かんざし一本山桜💐🎉
見え隠れランドセル行く春の朝💐💐🎉🎉
断捨離の区切りを付けて桜餅🎉🎉
図書館に青春さがす冬日和🎉🎉
三月茶室釣り釜の揺れ風を見る🎉
遮断機をくぐり猫行く花曇🎉
背を丸め四つ葉さがしの母の陰💐
蛇口から水のむ児らの日の永し💐
物多き食卓の角夏みかん🎉
令和4年3 月10日(水)午後1時30分~ つどいの家
◎ 先生の講義:「俳句の作り方」(添削例)の説明
俳句を作るときは、個性をどのようにだすか。陳腐な日常そのままだとつまらない退屈な句となる。
強すぎてもだめ。
例1 ×平凡に妻菜の花を漬けにけり・・・あまりに平凡的
〇平凡になりたる妻は花菜漬け
評:始めの句はあまりに日常・平凡すぎる。漬ける事柄より漬けた妻に焦点化する。
例2 ×振り向けば何の唄なり葱坊主
〇ふりむけば誰のつぶやき葱坊主
評:自分以外に転化する。闘病中の作者の想いは後句である。
例3 ×春深し刻を数えるこけしかな・・・感動が伝わってこない
〇春の夜の刻を数えるこけしかな
評:前句は「し」と「かな」の切字が二つある。思いが二つに分散されることは不可。後句の「春の夜の」として下五に情をかける。
例4 ×高階に栖みて木箱に葱咲かせ
〇高階に栖みて木箱を葱の花・・・すわりがいい
評:前句の「咲かせ」は川柳的。後句の下五を「座りなおす」。「哀れさ」と「生きる思いの都市住まい」を感じさせる。
例5 ×店先に卵を忘れ春来いよ・・・軽めで情緒がない
〇店先に忘らる卵春よ来よ
評:前句の「を」「れ」「よ」の語感が荒い。二句切れ。
後句は焦点化され、上五中七の「面白さ」と下五の「呼びかけ」がいい
令和4年2 月9日(水)午後1時30分~ つどいの家
○ 先生の講義: 「俳句の作り方」・・・見えない内部、居ないこと、分身を詠む
前回は、目に見える具象や素材、テーマを探してということでしたが、今回は見えない内部、居ないこと、分身を詠むことに主眼をおきます。
1,見えない内部を詠む
例:桃のなか別の昔が夕焼けて・・内部に昔の別の「私」がいる。
例:人形の芯は糸屑春祭・・華やいだ童女の内部は「糸屑」の本質美、哀美の春祭
2,居ないことを詠む
例:父の座に父居るごとく雑煮椀・・父となった今、つくづくと雑煮椀の思い出手繰る
例:球場に万の空席初燕・・試合時の喧騒と現在の一人もいない空席、万の満席の想像
3,分身を詠む
例:遮断機のむかうの我もかぎろへる・・見えない向こうにも我がいて陽炎っている
例:飛込の途中たましひ遅れけり・・飛び込みの時、魂が遅れていくという感性把握
4,「笑い」による諧謔
例:八頭笑うほかなく笑うかな・・里芋の八頭、自分をその中にいれる
例:去年今年貫くパンのソーセージ・・虚子の「去年今年貫く棒のごときもののparody
俳句を作る方法としてこんな方法もあります。
1. 裏返してみる・・表と裏に落差があるのがいい
2. 見えない裏を詠む・・例:満月の裏はくらやみ魂祭
3. しぐさをとらえる・・例:手のひらをすべらせたたむ花衣
4. 無意識な動きを詠む
5. 器の中を詠む・・例:砂糖壺の中に小さき春の山
6. 調理の一こまを詠む
7. 他人の表情を詠む
・・・・・
令和4年1 月12日(水)午後1時30分~ つどいの家
空は晴れているものの急激に発達した低気圧のため、典型的な西高東低冬型の天気となり、強い西風が吹く日となりました。
○ 先生の講義:「俳句の作り方」新素材を詠む
俳句を作るときは、伝えるべき素材やテーマを探します。仕事をしている方は、通勤や仕事場で探せます。家にいる方は、家の中、近所の公園、スーパーなど身近なものにテーマを絞ればよいと思います。
具体的には、日常ありふれたものとして次のような物があります。
① 「刃物」「皿」など
例:寒晴の木綿豆腐に刃を入るる
例:迷ひ蟻包丁の柄をなめてゐる・・蟻が包丁(一瞬ヒヤリとする)をなめてる面白さ
例:八角の皿に角(つの)ある朧の夜・・皿のかどをつのと感じ、朧夜と対比させる
② 「家具」
例:家具店の引き出し全て西日かな・・引き出しがみな暑い西日にあたっている
例:啓蟄や云ふこと聞かぬ小抽出・・動く虫と動かぬ小抽出の対比
例:テーブルの足の木目も花明り・・こんな所にも支店を写す
③ 「風呂」
例:柚子の香や一枚落ちし風呂の蓋
例:やはらかく泡立つわたし九月尽・・暑さから解放、匂いたつ女性らしさ
④ 「旗」
例:春雨の半旗つらなる此岸なり・・お年忌の映像でしょうか
例:岩つばめ白旗のあの日ひるがへす・・戦争中の白旗を思い
⑤ 「腸・はらわた」
例:腑をしぼるほどのせつなさ紫蘇しぼる・・やりきれないほどのせつなさ
日常の景色(素材とか表現)をプラス思考にするのがよいでしょう。
簡単に俳句を作る方法としてこんな方法があるようです。
1.最初に下5で使う言葉を決めて、5文字の普通名詞を使う
2.次に、中7で下5の名詞を描写する言葉を選ぶ
3.最後に季語を選ぶ
*注意点として、感情の言葉を使わない、季節の言葉を使わない、比喩・擬音を使う。
令和3年12 月8日(水)午後1時30分~ つどいの家
○ 先生の講義「俳句文法」その2
気にしすぎると俳句が作れなくなってしまう規則(文法)その2です。
①「めり」「なり」の使い方・・・終止形につく
・「めり」・・・視覚推定(推定、婉曲)
例:玉霰夜たかは月に帰るめり・・・一茶
・「なり」・・・聴覚推定(推定、伝聞)
例:日盛りに蝶のふれ合ふ音すなり・・・松瀬青々
②「らし」・・・根拠のある推定(終止形につく)
例:夏来たるらし貝がらのストラップ・・・まゆずみまどか
③「たし」・・・願望、希望
例:菫ほどな小さき人に生まれたし・・・夏目漱石
④ 過去の助動詞「き」「けり」
・「き」・・・直接過去(自分が体験した過去の出来
事)、動詞の連用形につく
例:流氷の沖に古りたる沖ありき・・・斎藤玄
例:濡れて来し少女がにほふパリー祭・・・能村登四郎
「し」は「き」の連体形であり、強調の推量で
あり「過去」ばかりではない
・「けり」・・・間接過去(他人から見聞きした過去の
出来事)、詠嘆(過去に感じた感動)
例:飛込の途中たましひ遅れけり・・・中原道夫
例:桃の花老いの眼にこそくわしけれ・・・永田耕衣
「こそ」→「けれ」:はっきり見えるの意
文法は難しいので、後で見直す時に、少し気を付けることにしましょう。