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馬郡探訪07 「浜松(馬郡)の気候」について

今年(2024年)、静岡(市)では7439.3℃、77日に40.0℃となり、年間の日最高気温の1位と2位を更新しました。

718日(木)に梅雨が明け、今後ますます暑さが厳しくなりそうです。気象庁の3ヶ月予報でも、「全国的に暖かい空気に覆われやすいため、向こう3か月の気温は平年より高いでしょう。」と発表しています。

公開時点(729日(月))でも静岡県内は各地で猛暑日となり、浜松市天竜区では今年全国の最高気温を更新する40.2を記録するなど、災害級の暑さが続いています。こんな日は無理はせず熱中症対策をしていただきたいと思います。

  

そんな訳で、今回はいつもの馬郡探訪とは少し趣を変えてこの地方の気候について調べてみました。

さすがに馬郡町のデータはありませんので気象庁が出している浜松市のデータを中心に紹介させていただきます。

 

最初に、日本で一番暑い(最高気温の高い)場所はどこかご存知でしょうか?

ニュース等で話題になりましたのでご存じの方も多いかと思いますが、浜松市(41.1℃:2020.8.17)と埼玉県熊谷市(41.1℃:2018.7.23)です。それまでは熊谷市がトップでしたが2020年に浜松市がトップタイに並びました。気象庁HPの歴代全国ランキングに記載されています。浜松が最高気温の記録を残した前日には天竜(現浜松市天竜区)が40.9℃を記録しており、6位に入っています。参考までに気象庁が発表しているランキングを以下に記載しておきます。

 

全国最高気温ランキング(各地点の観測史上1位の値を使ってランキング)

順位

都道府県

地点

観測値

現在観測を実施

起 日

1位

静岡県

浜松

41.1

2020817

埼玉県

熊谷

41.1

2018723

3位

岐阜県

美濃

41.0

201888

岐阜県

金山

41.0

201886

高知県

江川崎

41.0

2013812

6位

静岡県

天竜

40.9

2020816

岐阜県

多治見市

40.9

2007816

8位

新潟県

中条

40.8

2013823

東京都

青梅

40.8

2018723

山形県

山形

40.8

1933725

11

山梨県

甲府

40.7

2013810

12

新潟県

寺泊

40.6

2019815

和歌山県

かつらぎ

40.6

199488

14

群馬県

桐生

40.5

2020811

群馬県

伊勢崎

40.5

2020811

山梨県

勝沼

40.5

2013810

17

新潟県

三条

40.4

202093

山形県

鼠ケ関

40.4

2019815

埼玉県

越谷

40.4

2007816

20

新潟県

高田

40.3

2019814

愛知県

名古屋

40.3

201883

群馬県

館林

40.3

2007816

群馬県

上里見

40.3

199874

愛知県

愛西

40.3

199485

 

 

では、浜松(市)における最高気温のランキングはどうか。最高気温1位になった2020年は1位、2位、4位と上位を占めており特にこの年の8月は特に暑かったことがわかります。浜松における8月の過去30年の平均気温は27.8℃ですが20208月は29.7℃となっています。ちなみに最高気温を測定したアメダス浜松測候所は浜松市中央区高岡東(航空自衛隊浜松基地東側)にあります。

 

最高気温が35以上の日を猛暑日と言いますが、浜松では201316回、201810回、最高気温日本一になった2020年に10回の記録があります。今年(2024/7/28時点)すでに12回です。

浜松の過去30年の平均値の表を最後に付けておきますが、平均気温を見ても浜松は1月が最も寒く8月が最も暑い時期になります。

8月も猛暑が続くことは間違いと思われるため猛暑日の更新もありそうな勢いです。

あまり、喜ばしいデータではないですね。浜松に限らず、これ以上暑くなるのは勘弁してほしいのですが、どうやら今年も40度越えの気温が増える予想のようですので、熱中症には要注意です。

浜松市の最高気温ランキング

順位

1位

2位

3位

4位

5位

6位

7位

8位

9位

10位

気温

41.1

40.2

39.8

39.7

39.3

38.6

38.6

38.4

38.3

38.2

起日

2020/8/17

2020/8/16

2013/8/11

2020/8/15

2001/8/4

2007/8/17

2001/7/24

2013/8/12

2016/8/9

1994/8/4

 

浜松市の気象特性について、市のHPでは次のように紹介しています。

「浜松市を含めた沿岸部ではおよそ16℃くらいで、天竜から佐久間にかけての山間部では、更に1℃程度低くなっています。しかし、佐久間や天竜では、夏期に県内の最高気温を記録することがあります。 冬期遠州灘に面した沿岸部では季節風が強く、特に御前崎付近では10m/s以上の強風が吹くことがあります。一方、春から初夏にかけては一般に風は弱くなっています。 降水量は、平野部は全般に少なく、遠州地方は県内で一番雨の少ない地域で、年間降水量は17002000mmです。

 

浜松の気候は比較的温暖ですが、冬は「遠州のからっ風」と呼ばれる北西の強い季節風が吹き、気温以上に寒く感じられます。この強い風は広大な遠州灘海岸の砂丘に美しい風紋を作り出しています。 また、浜松市は全国的にみて日照時間が長いことが確認されています。気象庁発表の「全国 気候表2011年」(全国153に上る各地点の気象データを公表しているもの)では、浜松市の日照時間は2386.2時間で日本一となり、その後の公表でも年間日照時間は全国トップクラス です。 日照時間とは、直射日光が実際地上を照らす日射量が120W/平方メートル以上の時間。」

 

篠原地区(馬郡町を含む)の気候について、「わがまち文化誌 浜風と街道」に次のような記述があります。

「浜松地方の気象は、一口で言って冬暖かく、夏涼しい海洋性気候である。その中で特徴的なことは年間を通じて雨量が少ないこと。日照時間が長いこと。および冬期のからっ風であろう。中でもからっ風は、冬には時々東海道新幹線を遅らすこともある関ヶ原地方に雪を降らした季節風が、乾燥してこの遠州平野を吹き抜ける。本当に身にしみる。それはあたかも、温暖な気候に恵まれて生活している私達に、気持ちの引き締めを暗示しているようでもある。冬の平均風速は4m/秒をこすが、最大風速では20m/秒におよぶこともある。おそらく浜松地方の中でも篠原等海岸地帯は更に12m強いのではないかと想像出来る。

こういうことから篠原地域の先人達は畑ごと西側に、麦わら、わら、よし等で風よけをつくり、砂の飛ぶのを防いできたのである。」

 

筆者は国道301号線より南側の玉ねぎ畑に囲まれて生活しており、風よけ以外に風を遮るものが何もないため「遠州のからっ風」をまともに受けることになります。サッシ窓の隙間に砂が溜まったり周りの側溝が砂に埋もれたり、自然のいたずらに悩まされたりもしますが、一方でそのような気候風土であるからこそ玉ねぎの一大生産地となって発展してきたとも言えます。

 

最近、YouTubeの馬郡町動画チャンネルにおいて、「馬郡町の夜明け」と題する動画をアップしましたが、浜松市内を朝靄(あさもや)が立ち込める幻想的な風景を撮影することができました。風のない日もあるのです。本ホームページのトップページに動画を貼り付けておきますので、ご覧いただけたら幸いです。

気象庁では霧日数も調査しており、浜松の霧日数は年間(2005年〜2020年の平均値)で3.7日程度であり6月(0.9日)、7月(0.7日)に多く出現しています。思ったより少ない印象ですが、靄(もや)は含まれていないからだと思われます。

ちなみに、霧は視界が1㎞未満、靄(もや)が1㎞~10㎞未満、特に100m以下のものを濃霧と言い、どれも水滴が正体です。 霞(かすみ)は、水滴以外に煙や黄砂など他の粒子も含まれていて、昼間は霞(かすみ)、夜は朧(おぼろ)と言い方が変わるようです。 今回は市内全体が霞んではいましたが割と遠くも見渡せる風景でしたので、靄(もや)で良さそうです。

 

霧は細かい水滴が空気中を浮遊しているという点では、雲と同じ現象です。観測上は、それら水滴の集団が観測者のいる地面から離れていれば雲、地面に接していれば霧となります。したがって山に雲がかかっているとき、麓の観測者から見れば雲ですが、その雲の中にいる観測者から見れば霧となります。そして観測者が雲(霧)より高い場所から見下ろしたとき雲海を見ることができます。

ですから高い山がない馬郡地域から雲海を見ることはできません。今回はドローンを使って霧の上から撮影することで雲海を見ることができました。

国内で年間霧日数が最も多い地点は 211.6 日の富士山で、これは山頂に雲がかかった日数ということです。1年のうち6割も雲がかかっているのですから、富士山が見えない確率が高くなるのは当然なのかもしれません。

 

最後に、ドローンを使って滅多にお目にかかれない120km離れた富士山と浜松市街地の雲海を一緒に撮影することができました。写真も添付しておきますので、いつもとは違った浜松や馬郡を楽しんでいただけたら幸いです。

 

浜松 平年値(年・月ごとの値) 主な要素

要素

降水量

気温

蒸気圧

相対湿度

風向・風速

日照時間

雲量

大気現象

合計
(mm)

平均
(
)

日最高
(
)

日最低
(
)

平均
(hPa)

平均
(
)

平均
(m/s)

最多風向

合計
(
)

平均

雪日数

霧日数

雷日数

統計期間

1991
2020

1991
2020

1991
2020

1991
2020

1991
2020

1991
2020

1991
2020

1991
2020

1991
2020

1991
2005

2005
2020

2005
2020

1991
2005

資料年数

30

30

30

30

30

30

30

30

30

15

16

16

15

1

59.2

6.3

10.6

2.4

5.5

57

4.3

西北西

206.6

4.7 @

2.7

0.1

0.5 @

2

76.8

6.8

11.5

2.7

5.9

56

4.5

西北西

187.8

4.7 @

2.6

0.1

0.3 @

3

147.1

10.3

15.0

5.7

7.4

59

3.9

西北西

201.9

6.0 @

0.7

0.5

0.4 @

4

179.2

15.0

19.6

10.7

10.9

65

3.9

西北西

199.7

6.2 @

0.0

0.2

0.9 @

5

191.9

19.3

23.7

15.3

15.6

70

3.4

西北西

205.1

7.2 @

0.0

0.4

0.9 @

6

224.5

22.6

26.6

19.4

21.6

78

3.3

西南西

148.1

8.3 @

0.0

0.9

1.1 @

7

209.3

26.3

30.3

23.4

27.1

77

3.3

西南西

176.3

7.7 @

0.0

0.7

1.9 @

8

126.8

27.8

31.8

24.7

29.0

76

3.2

西南西

211.4

7.1 @

0.0

0.3

2.5 @

9

246.1

24.9

28.8

21.5

23.0

74

3.0

北東

166.7

7.2 @

0.0

0.1

2.2 @

10

207.1

19.6

23.6

16.2

16.0

72

3.1

北東

162.6

6.3 @

0.0

0.1

1.1 @

11

112.6

14.2

18.6

10.4

10.7

64

3.3

西北西

171.8

5.2 @

0.0

0.3

0.6 @

12

62.7

8.8

13.2

4.8

7.0

61

4.1

西北西

200.1

4.2 @

1.6

0.1

0.2 @

1843.2

16.8

21.1

13.1

15.0

67

3.6

西北西

2237.9

6.2 @

7.6

3.7

12.6 @

 「@」の付いた値は、参考値です。平年差や平年比に利用できません。

 

○各種データについては、気象庁ホームページ/各種データ資料/過去の気象データから引用、抽出しました。

https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php


浜松市内上空に漂う雲海と富士山/遠州灘(中田島付近)から撮影

朝靄に霞む浜松市街(篠原付近)/遠州灘(馬郡町付近)から撮影

遠方に富士山、中央下側に篠原小学校が見える。

朝靄に霞む浜松市街(アクト周辺)/遠州灘(馬郡町付近)から撮影